第67話

🌸
1,401
2020/05/08 05:29
女
鬼よ…!
こいつよ、こいつを…!
男
こいつを差し上げます
きっと貴方様は満足に…
あなた

離して…!

まるで私にすがるかのように

私を捕まえて

身動きが取れないようにした
ほほう…そいつが例の
珍しい力の持ち主か…
良い味がしそうだ
無一郎
無一郎
あなた…!
逃げないと

早く刀を抜かないと…

それなのに

どうやってもこの人たちの手を振り払えない
男
お前が生贄になれば
俺たち一族は助かるんだ
女
貴方は一族の汚点
ここで消す
何で

どうしてこんなにも貴方たちは

汚れてしまったの

『一族の誇り』

そんな肩書きに縛られて

それしか見えていない 可哀想な人たち
あなた

…ごめんなさい

きっと私のせい

私がここに生まれたから

『桜咲』の名前は

私には重すぎて背負いきれなかった

私は弱かったんだ
女
えっ…
私はやっぱり

この力を持ってしまった罪を

償わなければいけないのかな
まずは…動きを止めなくてはな
鬼は気味悪く笑うと

私の腕目掛けて切り裂いた
あなた

……っ!!

いい匂いだ
稀血とは違う匂い
無一郎
無一郎
くそっ…!あなた!
血が止まらない

痛すぎて何も考えられない

耐えられない
お前はそこにいろ
順番に消してやる
無一郎
無一郎
うっ…
あなた

むいち…ろ…!

駄目…

このままじゃ

無一郎までやられてしまう
あなた

どうか…許して

『命の呼吸』の本当の力

今だからこそ使うべきなのかもしれない

例え何を犠牲にしても

無一郎だけは_

NEXT_

プリ小説オーディオドラマ