第10話

8話
6,456
2020/08/27 09:42
紅い衣に逆立った薄い金髪の少年。








【エンマ大王】。







エンマ大王
エンマ大王
ふー、待ちくたびれたぜ。
もっと早く呼び出してくれよな!




赤い炎のようなオーラを轟々と纏ったエンマ大王は腕組みをし、そう言った。






イナホ
イナホ
イカす!
あのコスプレヤバイ!♡///
ジバニャン
ジバニャン
え、そこ?←
夢主ちゃん
夢主ちゃん
あなたが【エンマ大王】様・・・?
エンマ大王
エンマ大王
あぁ。




エンマ大王はあなた達の前へ降り立つと、あなたの身体を見つめた。






エンマ大王
エンマ大王
・・・こんな傷だらけになってまで、仲間を助けようとしたのか?
夢主ちゃん
夢主ちゃん
えっ、あっ、あ、、
そ、そう・・・なのかな・・・?



肩を竦めて眉を下げるあなたを見て笑みを浮かべながら、あなたの頭をポンポンと撫でる。




エンマ大王
エンマ大王
そんな顔すんなって。



・・・お前のその心意気、気に入った!




え?と首を傾げるあなた達に、エンマ大王は「ここで待ってろよ」と言い残し、天高く浮かび上がる。





イナホ
イナホ
わきゃーーー!///
人間である可憐な美少女あなたちゃんと妖魔界の絶対的存在であるエンマ大王のCP・・・!
まさに最高の組み合わせじゃないっすかーー!!///



目をハートにしてあなたの周りをぐるぐると回る。





ケータ
ケータ
イナホさん・・・
イナホ
イナホ
あっ!
それ以前に皆さんが許しませんか?((ニヤニヤ
ケータ
ケータ
だっ・・・!///



ニヤニヤしながら小声で言われたイナホの言葉に、あなたとイナホ以外の一同はボンっと顔を真っ赤に染める。





夢主ちゃん
夢主ちゃん



その一同の後ろにいたあなたは小首を傾げていた。











エンマ大王は少しそれを見下ろしてから、口角を上げてぬらねいらに身体を向けた。






エンマ大王
エンマ大王
さぁぬらり・・・



反撃をさせてもらうぜ!!




ぬらねいらはすぐさま特大弾球を投げつける。







エンマ大王は掌でいともたやすく弾球を受け止め、消し去った。





大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
うっ!




エンマ大王は隙を与えようとせず、ぬらねいらの弾球と同じくらいの隕石のような炎の弾球を作り出す。




そして、それをぬらねいらへ向けて投げつけた。





ぬらねいらはあの黄色いバリアで防ごうとするも、とてつもない威力にそれは耐えられず、バリアは破壊されてぬらねいらにぶち当たる。







凄まじい爆発が起き、炎の爆轟が響く。




小さな瓦礫が吹き飛び、あっという間に色が濃い黒煙が立ち込める。




晴れた頃には、怒りに満ちたぬらねいらが空へ飛んでいったところだった。





ふっ、とエンマ大王は口元に笑みをたたえ、同じような炎の弾球をいくつも作り出した。




ぬらねいらは馬のように空を駆けて、炎の球を避けていく。




一度天高くまで上がったかと思うと、ぬらねいらは頭の上に緑の弾球を作り出してエンマ大王へ突進する。





エンマ大王はそれを片手で受け止めた。




エンマ大王
エンマ大王
無駄だ



エンマ大王の圧倒的な力に弾かれ、ぬらねいらは地面へと落下。






すかさずエンマ大王は炎の弾を勢いよく沈み込めるように投げつけた。




またもや黒煙が密度が濃く立ち込める。






ジバニャン
ジバニャン
すごいニャン・・・
イナホ
イナホ
エンマ大王、強すぎ・・・!



困惑の声を漏らし、一同はエンマ大王を見上げる。





ぬらねいらは苦しそうに、悔しそうに呻きながら声を口から漏らす。





大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
ぐ・・・っ、、
何故だ・・・何故人間の味方をするのだ!!
貴方には・・・妖魔結界の中で人間の醜さを何度も教えたはず・・・!
エンマ大王
エンマ大王
そうだな。
色々教えられた。
大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
どういうことだ!!
エンマ大王
エンマ大王
大体、お前如きの妖魔結界で俺を閉じ込められると思っていたのか?
あんな低次元な結界、破るのは簡単だ。
むしろ監禁されてるフリをする方が大変だったぜ。




淡々と言葉を続けるエンマ大王をみて、
「ふざけるでなーーーいッ‼︎」
怒り心頭の叫声を上げ、特大な弾を創り出そうとするが_________










エンマ大王
エンマ大王
聞けい!!!ぬらり!!!




エンマ大王の張りのある強い声の威力に押され、その弾は炎によって消された。





あまりの強さに、ぬらねいらも一瞬怯む。





先ほどまでの飄々とした姿は消え、【大王】として威厳のある姿になっていた。





エンマ大王
エンマ大王
『人間と妖怪が交わるのは間違っている。』
そうお前が進言してきたとき、もしかするとそうかもなって思った。


だから見てきたぜ!


『人間』を!!
大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
見てきた・・・?
エンマ大王
エンマ大王
自分の目で確かめたかったからな。
時間を操って試すようなこともさせて貰った。

ここにいる奴らを使ってな!




そう言って、エンマ大王は地上にいるあなた達を見下ろす。





ケータとジバニャンが驚いたように声を出す。




ケータ
ケータ
え!?
ジバニャン
ジバニャン
ニャンと!あの時のアレは・・・!




エンマは地上に足をつけた。





エンマ大王
エンマ大王
それに、お前だって見ただろう?
あそこにいるあんなちっちゃい奴が、傷ついた仲間のために自分の危険をかえりみず無防備に飛び込んでいくところを!
流石の俺でも、ヒヤヒヤさせられたぜ・・・
夢主ちゃん
夢主ちゃん
な、なんかごめんなさい・・・




肩を竦めて小さく呟くあなた。





エンマ大王は地上に足をつけた。





エンマ大王
エンマ大王
・・・俺が見た限り、人間も満更悪くは無かったぜ!
大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
そんなはずはない!!
人間と妖怪の交わりは、妖魔界の為にならぬ!!
エンマ大王
エンマ大王
"人は死んで妖怪になる。
妖怪は生を受けて人となる。"
人間も妖怪も元はおんなじ、姿形が変わっただけだ。
心を通わせて友達になれば、支え合うことができる!
あいつらがそれを教えてくれた!
夢主ちゃん
夢主ちゃん
・・・




あなたの瞳に、薄い透明な膜が張る。





_________ぬらねいらは考えを改めなかった。





大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
わたしは・・・


大王様と約束したのだぁぁあぁッ!!!



ぬらねいらは最後の力を振り絞るように、
大きな弾球を創ってエンマ大王の体へ投げつける。





エンマ大王はそれを直に両手で受け止めて・・・そして。





目を大きく見開き、音もなく消し去った。





ぬらねいらは膝から崩れ落ち、力が抜けたように頭も地面へ下がる。





エンマ大王は静かに口にした。





エンマ大王
エンマ大王
そうだよな・・・




エンマ大王は静かに歩く。





エンマ大王
エンマ大王
お前はたった1人で、じいちゃんの言いつけを守ってきた。
・・・確かに、じいちゃんのいうことにも一理ある。
交わりには良くないことだってあるさ。
大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
うるさい!!



ぬらねいらは弾球を当てる。




エンマ大王は、それを避けようとも消そうともせず、
ただただぬらねいらへ向かって歩いていく。







エンマ大王
エンマ大王
だけど見てみろよ。
この世界を!
大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
黙れ・・・


黙れ‼︎‼︎



顔、首、頬、胸元。






ぬらねいらの_________ぬらりひょんの想いを真っ直ぐ受け止めるように、身体全体で受け止める。





エンマ大王
エンマ大王
・・・・お前だって本当は気付いてたんだろ?




止めていた足を動かし、また歩き出す。






エンマ大王
エンマ大王
人間と妖怪が手を取り始めてから、
この世界は・・・少しづつ良くなっていることを!!




あなたもケータもイナホも、コクリと小さく頷く。





大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
わたしは・・・




わたしは_________ッ!!!




先程までとは違う大きさの弾球を創りだし、
勢いよくエンマ大王へ打ち当てた。






エンマ大王はそれを真っ直ぐ受け止める。




エンマ大王は、威厳のある真剣な表情で歩き進めていた。






大妖魔・ぬらねいら
大妖魔・ぬらねいら
ぐぅっ・・、!



あれが最後の力だったのだろう。





ぬらねいらは軽く呻くと、その場に横に倒れ込んでしまった。





エンマ大王はぬらねいらの元にたどり着く。





エンマ大王
エンマ大王
________時代は変わったんだ。
『人』の世界も、『妖怪』の世界も!




そうして、ぬらねいらの額へ片手を当てた。

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