紅い衣に逆立った薄い金髪の少年。
【エンマ大王】。
赤い炎のようなオーラを轟々と纏ったエンマ大王は腕組みをし、そう言った。
エンマ大王はあなた達の前へ降り立つと、あなたの身体を見つめた。
肩を竦めて眉を下げるあなたを見て笑みを浮かべながら、あなたの頭をポンポンと撫でる。
え?と首を傾げるあなた達に、エンマ大王は「ここで待ってろよ」と言い残し、天高く浮かび上がる。
目をハートにしてあなたの周りをぐるぐると回る。
ニヤニヤしながら小声で言われたイナホの言葉に、あなたとイナホ以外の一同はボンっと顔を真っ赤に染める。
その一同の後ろにいたあなたは小首を傾げていた。
エンマ大王は少しそれを見下ろしてから、口角を上げてぬらねいらに身体を向けた。
ぬらねいらはすぐさま特大弾球を投げつける。
エンマ大王は掌でいともたやすく弾球を受け止め、消し去った。
エンマ大王は隙を与えようとせず、ぬらねいらの弾球と同じくらいの隕石のような炎の弾球を作り出す。
そして、それをぬらねいらへ向けて投げつけた。
ぬらねいらはあの黄色いバリアで防ごうとするも、とてつもない威力にそれは耐えられず、バリアは破壊されてぬらねいらにぶち当たる。
凄まじい爆発が起き、炎の爆轟が響く。
小さな瓦礫が吹き飛び、あっという間に色が濃い黒煙が立ち込める。
晴れた頃には、怒りに満ちたぬらねいらが空へ飛んでいったところだった。
ふっ、とエンマ大王は口元に笑みをたたえ、同じような炎の弾球をいくつも作り出した。
ぬらねいらは馬のように空を駆けて、炎の球を避けていく。
一度天高くまで上がったかと思うと、ぬらねいらは頭の上に緑の弾球を作り出してエンマ大王へ突進する。
エンマ大王はそれを片手で受け止めた。
エンマ大王の圧倒的な力に弾かれ、ぬらねいらは地面へと落下。
すかさずエンマ大王は炎の弾を勢いよく沈み込めるように投げつけた。
またもや黒煙が密度が濃く立ち込める。
困惑の声を漏らし、一同はエンマ大王を見上げる。
ぬらねいらは苦しそうに、悔しそうに呻きながら声を口から漏らす。
淡々と言葉を続けるエンマ大王をみて、
「ふざけるでなーーーいッ‼︎」
怒り心頭の叫声を上げ、特大な弾を創り出そうとするが_________
エンマ大王の張りのある強い声の威力に押され、その弾は炎によって消された。
あまりの強さに、ぬらねいらも一瞬怯む。
先ほどまでの飄々とした姿は消え、【大王】として威厳のある姿になっていた。
そう言って、エンマ大王は地上にいるあなた達を見下ろす。
ケータとジバニャンが驚いたように声を出す。
エンマは地上に足をつけた。
肩を竦めて小さく呟くあなた。
エンマ大王は地上に足をつけた。
あなたの瞳に、薄い透明な膜が張る。
_________ぬらねいらは考えを改めなかった。
ぬらねいらは最後の力を振り絞るように、
大きな弾球を創ってエンマ大王の体へ投げつける。
エンマ大王はそれを直に両手で受け止めて・・・そして。
目を大きく見開き、音もなく消し去った。
ぬらねいらは膝から崩れ落ち、力が抜けたように頭も地面へ下がる。
エンマ大王は静かに口にした。
エンマ大王は静かに歩く。
ぬらねいらは弾球を当てる。
エンマ大王は、それを避けようとも消そうともせず、
ただただぬらねいらへ向かって歩いていく。
顔、首、頬、胸元。
ぬらねいらの_________ぬらりひょんの想いを真っ直ぐ受け止めるように、身体全体で受け止める。
止めていた足を動かし、また歩き出す。
あなたもケータもイナホも、コクリと小さく頷く。
先程までとは違う大きさの弾球を創りだし、
勢いよくエンマ大王へ打ち当てた。
エンマ大王はそれを真っ直ぐ受け止める。
エンマ大王は、威厳のある真剣な表情で歩き進めていた。
あれが最後の力だったのだろう。
ぬらねいらは軽く呻くと、その場に横に倒れ込んでしまった。
エンマ大王はぬらねいらの元にたどり着く。
そうして、ぬらねいらの額へ片手を当てた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。