ダークニャンは青い光を纏い、ブチニャンは赤い光を纏って走り出す。
続けて、コマさんUSAピョン、ケータとイナホも。
あなたはその場から少し離れた階段の上でその様子を見つめていた。
静かに、瞳に光を宿して。
ブチニャンは触手の上を走り、飛び上がっていくつものパンチをお見舞いした。
ダークニャンは空中で飛び交いながら鋭い爪を輝かせて触手を引っ掻いていく。
コマさんは自分のロケランがうまく使えず、一発二発と後ろ向きで打ち続けている。
そのうち3発が壁に柱に瓦礫に当たって跳ね返り、ぬらりひょんの体に打ち付けている。
ケータは自分を鼓舞するように叫びながら、バットを持ちながら突っ込んでいったが______
バキイッ‼︎
強い鈍い音が響き、木のバットは一瞬にしてぶっ壊れてしまった。←
それを見て悲鳴を上げて早急に退散するケータ←
一方イナホは怯むことなくロケランをカチャッと構え、ボォンッ!と一発を打った。
あまりの威力の大きさに「なんとーっ!」と声を上げて後ろへよろめいた。
しかしその勢いのある弾がぬらりひょんへ真っ先に飛んでいき。
ドガァァァンッ
ぬらりひょんのおでこで、豪快な音を立てて爆発したのだ。
濃い砂煙から覗かせたぬらりひょんの顔は、隅々まで憎悪に染まっていた。
目を真っ赤に光らせ紫色の妖気を纏い、職種の太さ、長さを倍にし、ブチニャンやダークニャンを弾き飛ばす。
イナホとケータもその場から離れた。
狂気に包まれたぬらりひょんの瞳は、真っ赤に染まっていた。
異常な笑みを浮かべるぬらりひょんを呆然として見ていたあなたの元へ、ケータとイナホが駆け寄ってくる。
胸の中間あたりをギュッと握っていたあなたは2人に近づく。
あなたの問いに答えた後、頭を抱えてその場でグルグル回り始めるケータ。
その隣で、イナホは何かを見つけたかと思うと、
あなたとケータに向かって言った。
すると、イナホはあるところを指差して叫び始めた。
指差した柱の影から、ひょっこりとひとつの影が姿を現す。
自分のことを指差すUSAピョンを見て、あなたが驚いたように声を出す。
イナホとよく分からない会話をしているあなたに、
「なんのこと!?」とケータは小声で聞いた。
あなたは冷や汗を垂らしながら苦笑いで、
とだけ呟いただけだった。
イナホは口元に両手を添えて叫び始めた。
ブチッとキレたUSAピョンが、両親指でヘルメットのボタンをポチッと押した。
ヘルメットの中に黒い煙がもんもんと溜まり、吊り上げた目が赤く光る。
【ベイダーモード】
レーザーを打ちまくるUSAピョンを見ても、イナホはいつものようにビビらず、むしろ待ってましたと言わんばかりにニヤニヤ度を高めた。
曖昧な笑顔を浮かべるケータと、苦笑いを浮かべるあなた。
その言葉を聞いた途端、USAピョンは赤い雷を背後に轟かせ、ヘルメットのてっぺんにある2つのボタンを押した。
【エンペラーモード】
黄色かったヘルメットが赤ピンクに染まり、深緑色のマントを羽織った姿へと豹変した。
ズオオオオッと凄まじい迫力で、USAピョンの足元から爆発するかのようなオレンジ色の炎が噴火する。
怒りのオーラ全開って感じだ。
混乱の最中にあるあなた。
ケータとイナホは喜びに声を張る。
どうやら、イナホはこうなると予想していたようだ。
Σ(゚д゚lll)状態のあなたを含めた3人のところへ飛んできながら、カチャリとレーザーガンを構えた。
明らかにヤバそうな真っ赤なレーザーを溜めているUSAピョンに、イナホはすかさず付け足す。
USAピョンはこちらに来ることはせず、妖気を纏う触手の中を抜けながら飛び回り、ぬらりひょんへレーザーガンを向けた。
あなたはイナホがやっていたように両手を口の横に当てて、大きく叫ぶ。
タイミングよく響いたあなたの声に応えるように、2人の技が同時に放たれた。
ブチニャンの攻撃はオレンジ色を纏い、ダークニャンの攻撃は青色を放ち、USAピョンの赤い光線は赤い光を纏う。
大きく放出された3つの力が混ざり合い、虹色の光を輝かせて太い光線となる。
その圧倒的な威力を持った光線は一直線に・・・
ぬらりひょんがそう口に出した瞬間、天井の無くなった王宮の中で強い爆発が起き上がり、噴火した後のような轟きを見せた。
壊れた王宮にさらにヒビがいくつも入り、黒煙がもわもわと上がる。
あなた達は両腕で自分の顔を隠していた。
しかし。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。