玉さんは、それから数日駄菓子屋に通って、駄菓子を一日にいくつか買っていった。面接の結果が出るまでに、このとうみついろはのお店と駄菓子のことをもっと知りたかったのだ。
ひとつひとつに玉さんは感想を書き留めて、それをいろは坂のノートにしていった。ひとつひとつの駄菓子にひとつのいろは坂があるのだ。
玉さんと氷高さんは、買い物のたびに少しずつ世間話しもするようになった。
とか、
など、駄菓子屋を務める上で苦労する、やくざや万引児童の対応について聞かされるのであった。コンビニみたいだ。
家に帰ってから、戦利品を口に入れた玉さんは、ここのとうみつは歯について、歯が折れてしまいそうだとちょっと心配した。でもメロンキャラメルは、ほっぺたが落ちるほど甘く美味しくて、香り高く幸せな気分にしてくれた。
一週間後に電話が氷高さんから来て、面接に合格して駄菓子屋とうみついろはの店員になれたことを玉さんは知った。気に入っていた店なので、玉さんはとても嬉しかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。