第3話

駄菓子のいろは
21
2020/06/10 08:47
玉さんは、それから数日駄菓子屋に通って、駄菓子を一日にいくつか買っていった。面接の結果が出るまでに、このとうみついろはのお店と駄菓子のことをもっと知りたかったのだ。
玉さん
玉さん
ここの練り梅は、コロコロして明るい色の丸めてあるのと、甘酸っぱい平たいのの2つあるな。
ひとつひとつに玉さんは感想を書き留めて、それをいろは坂のノートにしていった。ひとつひとつの駄菓子にひとつのいろは坂があるのだ。
玉さん
玉さん
きなこ玉とつぶグミとサブレーはもう食べたから、今日はこっちのグミチョコと、パチパチ綿菓子にしよう
和菓子の店主
和菓子の店主
まいど!
玉さんと氷高さんは、買い物のたびに少しずつ世間話しもするようになった。
和菓子の店主
和菓子の店主
この前はがらの悪いやくざが来て、酒饅頭を一山買い占めていったよ
とか、
和菓子の店主
和菓子の店主
鼻たらしたガキが来て、駄菓子をくすねていかないか心配してたら、10円菓子をこう大事そうに買うんだ。
など、駄菓子屋を務める上で苦労する、やくざや万引児童の対応について聞かされるのであった。コンビニみたいだ。
玉さん
玉さん
今日は、メロンキャラメルとバター醤油のポップコーンと、ラムネ菓子!
家に帰ってから、戦利品を口に入れた玉さんは、ここのとうみつは歯について、歯が折れてしまいそうだとちょっと心配した。でもメロンキャラメルは、ほっぺたが落ちるほど甘く美味しくて、香り高く幸せな気分にしてくれた。
玉さん
玉さん
面接受かっているといいなあ。
一週間後に電話が氷高さんから来て、面接に合格して駄菓子屋とうみついろはの店員になれたことを玉さんは知った。気に入っていた店なので、玉さんはとても嬉しかった。

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