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第23話

謝罪
「すまなかった。覚悟がないなんて思い込んでた。お前は……こんなに、自分を追い詰めてるのに」



え。
追い詰めてる?



頭が段々冷えてきた。

そういえば、私。休みもせずに……ずっと、体を鍛えて。
そうだ。休まなくちゃ。こんなにかよわい私が休憩なしで運動なんてできるはずがないのだ。


立ち上がろうと膝をつき……



「っだー!?」


あまりの激痛に悲鳴を上げた。

筋肉痛だろう。なんてことだ。


本当に私、弱音を吐きながらも頑張ったんだ。凄いな。
痛いけど。



すると、ギルバートがぷっと噴き出した。
堪えきれないというように、肩を揺らして笑いだしたのだ。
……そうだ。

私は何をムキになっていたのだろう。
何を焦っていたのだろう。


追放までの時間はまだあるし、自分の精神年齢よりもずっと年下のギルバートに怒りちらすなんて。


「笑うなんて失礼よ!」
「ごめん、なんだかこっちが真面目にやってるのがバカらしくなって」


手を差しのばし、私を介抱するギルバート。



「っレベッカお嬢様!」


そのギルバートを半ば突き飛ばすようにして、メリーが私に抱きついた。


「もうっ、無茶はしないでください! これまで何度も目の前で倒れられ、介抱して目が覚めると再び稽古に打ち込むお嬢様を見ることしかできない私の身にもなってください!」




「「え?」」



初耳である。

ギルバートと二人で目を合わせ……私は苦虫を噛み潰したような表情になったと、思う。

謝るのは私だった。
「二人とも、変な意地をはって、心配をかけて、ごめんなさい」



私が言ったのを期に、メリーがわんわん泣いて、今日はメリーが妹のようだった。
彼女も、家族と離れ離れで寂しくなっているのもあるのだろう。


そのうちルカのところに遊びに行こうか。




──そうやって、私の騎士稽古のなんやかんやは片がつき、
私は薔薇の館で騎士団長に教えてもらうことになった。



勿論、ギルバートも一緒である。




「俺が一番に走りきった!」
「いや! 私が一番だったね!」
「なにをーーっ」
「そっちこそーっ!」

「勘弁してくれ二人とも。こっちは疲れてるんだ」


疲労困憊の騎士団長に二人で詰め寄る。





「「どっちが一番だった!?」」
ギルバートと私はあれから途端に仲が良くなるというわけではなかった。
むしろ時折険悪になる。


だけど、切磋琢磨できるライバルがいるのは恵まれていることだと思う。



一生懸命剣を振る。

今までにないくらい充実した日々。
だから、つい。忘れてしまっていたのだ。



『紫の騎士』ギルバート・ブラッドリー。
ヒロインに想いを寄せるヒーローの一人として、夢小説『恋する異世界道中』に書かれる彼は。



──とある過去から、レベッカを憎悪する、凶悪な殺人鬼となることを。