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第39話

囚われの
ーーー

「久しぶりですね。また貴方に会えるとは、思っていませんでしたよ」


エドガーは、目の前の少年を睨む。
ルカと同じくらいの背格好だろうか。


エドガーは彼を知っていた。
そして、彼を知っていたからこそ、幼い少女が大人顔負けの弁舌であろうと、驚かなかった。

前例・・があるから。


「私もです。できることなら、丁重にもてなしたいところですが、何分私は縛られております故、それは叶いません」
「貴方のその無様な姿が見られただけで愉悦というものです。気にしませんとも」

ただし。
エドガーは思う。
目の前の少年と、レベッカは決定的に違うと。

底の見えない少年は、不気味な笑みを湛えていたが、ついに我慢ができないというように。



「ぎゃはははははははははは!!!!」


下品な笑い声をあげ、手近にいた奴隷らしい男に鞭を振るう。
バシッ、と痛々しい音が響くが、奴隷は抵抗を禁じられているため何も言わない。
「俺様との契約を切るからこういうことになるんだよォ!! 俺様直々に可愛がってやってもいいが、お前は色々と面倒臭い。奴隷には適していない。かといって生かして帰すのも面倒臭ェ」


顔自体は整っているのに、人間とはここまで醜悪になれるのか。
わずか七歳の少年が考えるとは思えないような言動に肝が冷えた。



「安心しろ。元気なやつをいたぶるのは俺様の趣味じゃない。精神をぶっ壊してから体も殺してやんよ。どうしたらお前の精神はぶっ壊れるんだろうなァ?」


「やっぱし、お前の前で、捕らえた夜狼のメンバーを一人一人なぶり殺すのが最適かァ?」

……最悪だ。


「お前はどんな風に取り乱すんだろォなァ? 泣き叫ぶか? 救いを求めるか? 絶望するか? いっそ自分をと嘆願するか? ぎゃは、想像するだけで興奮するなァ」


じっとりとした眼差しに、全身が震えそうになる。

「……ち。まだ笑ってやがる。つまんねェの」



やはりだ。
こいつは、相手の反応がなければ楽しまない。
この手も何度もは使えないだろうが、自分が反応さえしなければ



もしかすると──



「アラン・デファレスト殿下!」
「あァ?」


伝令が、血相を変えて走ってきた。
邪魔をされたと不機嫌な顔をするアラン。

「ドランバーグ公爵令嬢がお見えです!」

……ドランバーグ公爵令嬢?


思い当たるのは一人しかいない。
柔らかな銀髪と、意思の強い淡いブルーの瞳を持つ彼女が思い起こされる。

まさ、か。


「……んァ?」



は、と気づく。
アランがこちらを見ていた。


「へェ? 今、お前、表情変えたな?」
「ッ!」

まずい。まずいまずいまずいまずい。
必死に取り繕うとするが、もう遅い。


「なるほど、そんなに大事なのかァ。ドランバーグ公爵令嬢ねェ? お前の女だったのか? ぎゃは。目の前でその女をどうしてやったら、お前は傷つくかなァ?」


ニンマリと笑うアランに。
背筋が凍った。


ーーー