ギルバートとの話が終わると、今度はルカがやって来た。
「……話は終わったんですね。それじゃあ、心置きなく言わせてもらいますけど、貴女、本当にバカですね。一人で勝手に浚われていって、俺たちがどんな思いだったか想像できます!? しかも、貴女が兄に頼んだ伝言先はエドガーだけ……いや、わかってますよ。コンラッドさんと俺たちは面識がほぼありませんし……でも、それでもですね!」
一拍を置き、ルカの怒濤の説教が再開される。
「俺たちのこと、『守ろう』としましたよね。確かにこのギルバートがヘマをしたのは確かです。俺だってもっとよく立ち回れたかもしれない。でも、六年間の絆をこいつの眼球一つなくなったぐらいで見捨てないでくださいよ!」
「ルカ、それたぶんお前じゃなくて俺が言うべき台詞」
「お前がいつまで経っても言わないからだ! このバカお嬢様はきっちり説教しても右から左に流れるからな。言わなかったら尚更伝わらないんだよ、この鈍感!」
ルカが私にもギルバートにも刺々しい言葉を投げつける。
どれも……愛情に溢れているから怖くはないけど。
「で、何か言うことは?」
「ごめんなさい」
ルカ、エドガーみたい。
この三人の中だと一番大人っぽいかもしれないよ。
「よろしい。いきなりあのエドガーに告白をしたときはついにとち狂ったかと想いましたが。俺たちだけでなくアラン殿下も見ているところだったんですからね」
あ、あう。
ぐうの音も出ないよ。
因みにアランは、長年自分の優秀さにかまけて激務をこなしていた弊害で、病院に強制入院させられている。奴隷制度は法に触れていないので裁かれることはないが、それでも奴隷たちに恨まれていることも事実。これからの人生は苦労が絶えないだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。