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第38話

推理の時間
まず、不思議に思ったのは。


大量の武器である。
カグツキと夜狼は長年の争いがあったらしい。

つまり、武器や人数が同程度で決着が中々つかなかったということ。


こんないきなり強くなることなどあり得ない。
となれば、カグツキの背後に協力者がいることは自然と予想がつく。



そして、次におかしいと思ったのは。



怪我人も誰も──誰も、いなさすぎる。
一般人も戦っている夜狼もいないのだ。


すぐに避難できたのかなと思った。
だけど、それにしては……と引っ掛かっていたが、避難所に来て確信した。


明らかに人が少ない。


結構な人数が、カグツキの連中に連れていかれたからだろう。
武器も殺傷能力の低いものを使っていた。

まるで、捕らえることが目的のように。
そこで思い当たったのが、エドガーがツテを使って一度は繋がったという隣国。
奴隷大国、『デファレスト王国』。


本の中で、悪役令嬢レベッカが売られた場所でもある。


そこ、ならば。


「きっとデファレストが裏で糸を引いている。私たちを捕らえて、奴隷として自国で売り払うつもりなのよ」


勿論、そんなことをすれば国際問題になりかねない。
だからこそ、カグツキを動かした。

あくまで、私たちの国の組織がやったこと。デファレストは関与していない、と。


そういう体裁を整えるために。



実際、小説の中ではデファレストは夜狼と繋がっていた。


私の説明を受けて、夜狼の皆はまだしばらく発言しなかった。
けど。
ジェイムズが私に問いかける。


「それがわかったとして──敵が増えただけでは? 番長を取り返す方法はありません。そんなに絶望を振り撒きたいのですか?」


「あるわ」


私が、どれほど話術を鍛えられたと。
交渉術を指導さえたと思っているのか。
「私がやる。私が取り返してみせる。無視はできないはずよ」


私が密会の場を作れば、王国は大した理由もなしに断れない。
私は家族間でこそゴミ以下の存在で、大した権威も与えられていない。


だけど。


あの最悪な両親の娘であることは間違いなく。


私の名前は


『レベッカ・ドランバーグ』



──我がエルネスタ王国の白薔薇。ドランバーグ公爵令嬢。


その肩書きは平民の犯罪集団カグツキには得物でしかないだろうが、貴族や国デファレストが相手であれば遺憾なくその効力を発揮する。

公爵家。王家の血縁であり、貴族の中では最も上位の爵位。
加えて言うならば、今現在王家に娘はおらず、すなわち、私は。


我が国で、王妃、ドランバーグ公爵夫人に次ぐ第三位の位を持つ、



正真正銘、血統書付き。
我が国で三番目に尊い身分の女性であるのだから。

デファレストが、断るわけもない。


「これだけ大規模なんだもの。港に、デファレスト行きの船があるでしょうね。そこに、エドガーも、捕らえられた人々も、私の交渉相手となるべきデファレストの関係者もいるでしょうね」


そこへ行って、私のドレスに縫い付けられた家紋を見せれば一発だ。



「行くわよ。絶対に、助け出すわ!!」



固く拳を握りしめた私に、さっきまでの陰鬱な表情は嘘だったかのように、夜狼のみんなが雄叫びを上げる。元気な声に少しふらつくも、メリーが支えてくれた。



「……難しい話だったんで、あまりわからなかったんですけど、番長を助ける算段があるってことですよね!」



きらきらした目で言うな、ジェイムズ。
私、これでも一生懸命説明したんだよ……。

みんなに理解してもらえるように……。