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第20話

訓練 上
ヒロイン。とても可愛らしく健気で弱音を吐かない。
悪役令嬢。強気で負けず嫌いで弱音を吐かない。

私はレベッカだ。
弱音なんて、吐くはずが……

吐くはずが……



「ムリムリ! 私の筋肉が限界だって言ってますが!? まだ走るの!? 嘘でしょ、もうちょっと騎士って楽なもんだと思てたのにぃ!」

「弱音吐きまくりじゃねぇか」


騎士団長が柔和な笑顔で一言。
「じゃあ館の回り五十周な」と言ってから、私は半ば精神力だけでギルバートと走っている。


負けたくない、という気持ちはあるのだ。
ただ、弱音を吐かないなんて立派な人間にはなれないだけで。


ギルバートもキツそうではあるが、さすがに私より余裕があるらしい。



呆れた目を向けられながら、私は必死で足を動かす。


汚れてはいけないからと騎士団の子供用の服を貸してもらえたから、ドレスよりは動きやすいけど。



「そこまでー」


五十……周。



太陽はもう傾いている。


私に合わせて走ってくれたギルバートが肩で息をしているところ、私は隣で仰向けになって息を整えようと頑張っていた。


「少し歩いた方がいいぞ」



そうだね……急に止まるとよくないらしいもんね。


「あ、でも足動かない……」


メリーは水を取りに行ってくれたし、助け起こしてくれる人なんていない。
私はどうにか立とうとして……


「ほら、手」


ギルバートが手を差し伸べてくれた。
私はほっとして、その手を掴む。


引っ張られてあっという間に立ち上がらせられる。
まだ膝が笑っているけど…なんとか立て……ぎゃっ!


ふらついたせいで、思わずギルバートに抱きついてしまった。


微妙な沈黙が訪れる。

お互い仲良く汗まみれ。気持ち悪いったらありゃしない。


「ごめん」
「いや、とにかく離れろ」


冷たい目で返されて、私は落ち込みながら離れる。







「そんな風に弱音吐いて抱きついて、騎士をバカにしてんだろ?」


目だけじゃなくて、声も冷たい。


「俺たちはふざけてやってるんじゃねぇんだよ。遊びなら他でやってくれ」


静かに、見離された。
私は、遠退いていくギルバートの背中を見送ることしかできなかった。