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第40話

取引をしましょう?
私の推理は概ね正解で、案の定近くの港には巨大な船が停泊していた。



「急な訪問、申し訳ありません」


メリー、ザルク、ルカ、ジェイムズ、ギルバート。
五人を連れて、案内されるまま船内の応接室に入った。


「いいえ、貴女のようにお美しい方の訪問ならいつでも大歓迎です」


交渉相手。
予想していた人物像とはだいぶ違う人物に、少し驚いた。

うまく動揺は隠せたはず、だけど。



黒炭のような黒髪、同色の瞳は睫毛で縁取られ、病的なまでの肌の白さが人間離れした彼の美貌を際立たせる。



まさか、私と同じくらいの年齢だとは思いもしなかった。



それに。
「アラン・デファレストと申します、レディ」



そう言って、アランは軽く、私の手に口づけた。


デファレストの姓。すなわち。
彼がデファレストの直系の王族であることを示す。

アランは、デファレスト王国の正真正銘、王子であるのだ。


「私はレベッカ・ドランバーグ」



ここで、切り込む。
自分のペースに持っていく。
相手が幼かろうが、譲らない。



「私は少し、急いでいるの。本題に入らせていただくわ」



エドガーお墨付きの極上の笑みを崩さぬまま、応接室のソファに腰かける。


「単刀直入に言うわ」



多少の不敬は仕方あるまい。


「我が領地の民を返して頂戴?」
これだけ荒れ果てていようが領地は領地。
民は民。
まだ義弟がいない我が家では、私は次期公爵であり、私の主張は正しいとしか言いようがないほどの正論。


「貴女の領地の民だと、どうして証明するのです?」


この国には、戸籍制度がない。
故に、誰かが死んだり生まれたりしてもなんとなくで乗りきっている。

税金徴収の仕組みはどうなっているんだと問いただしたいところであるが、
それはともかく。


今は、領地の民だと証明する術がない。



だけど。
この質問が来ることはすでに予想していた。


「あれを」


片手を上げて、メリーに書類の束を広げさせる。
その書類に書かれているのは、さらわれた人達全員の名前と外見的特徴。


簡単なことだ。
ないのなら、あるように見せかければいい。

即席でしかないのであまりつつかれると怖いが、間違いはひとつもないはずだ。

ルカの情報網は伊達ではない。
情報屋を頼れば、避難所にいない民をリストアップするなど造作もないこと。



「近くでご覧になります?」
「いや、いいよ。見事なリストだ。確かに、僕は命令でこの人々を船に案内したと認めよう」


ふん。
案内した?
連れ去ったの間違いだろう。


意外だ。
かなり追い詰めたはずだが、彼の余裕は剥がれない。
ポーカーフェイスか。厄介だな。