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第31話

これは所謂お姫様だっこ?(イラストあり)
あぁ、エドガー、と。
声をかけようと口を開くも。

突然ふわりと体が浮き、視界がハッキリと変化する。

少し体を捻れば、極上の微笑を浮かべたエドガーに対面した。



エドガー……とは。

この約一年で仲良く……なったの、だろうか。
よく私を試すように刺のある言葉で突き刺してくる。


私を鍛えているんだと宣い、それが確かに私の話術のレベルを上げる物になっているのだから反論できない。



名前を気安く呼び合う仲間ではあるし、後々お世話になる相手ではある。
互いのこともだいぶ知ってきたと思う。


だけど……いけ好かないのだ。


初めに嘘を言ってきたときも思ったが、油断ならない相手。
やつの掌で転がされているような気がして、不快なのだ。


そんな奴であるが……私に触れてきたことは今までない。
スキンシップなるものは存在しなかった。……今までは。
「どういうつもり?」
「いやぁ、良い眺めだねぇ」


お姫様だっこ……とは、何か違う。
私の体が小さすぎるため、お姫様だっこというよりは、赤ん坊をだっこするものに似ている。



「お姫様だっこ」
「……」


まぁ、赤ん坊を抱いていると言われるよりはずっといい。

「あぁールカもそこの……ギルバート、って言ってたかな? 二人がこっちを睨んでいるのが物凄く面白い」


心の底から楽しくて仕方ないと言う風に、エドガーは私を抱き直す。



「二人は私が落っことされないか心配してくれているのよ。貴方みたいな性悪男に捕らえられた哀れな私をね」

「性悪とは、お褒めにあずかり光栄だよ、マイプリンセス」

「私は公爵令嬢よ? 不敬を働くようなら然るべき手段を講じるわ」

「おっと、マイプリンセスは私めの畏敬の念を汲み取ってくださらないと見える」

「マイプリンセスというのがそもそも不敬だと言っているのよ」
矢継ぎ早に放たれる皮肉のきいた言葉に返答する。
こういうとき、エドガーは本当に楽しそうだ。


私をからかうのがよほど好きと見える。


「それは残念。では恐れながら降ろしてしんぜよう。ただ、私めの手が滑ってしまったら申し訳ない」


「……はぁ!?」


落っことす気か、コイツ。
さっと助けてくれそうなザルクに視線を飛ばしたが、彼はどこ吹く風。

……使えないやつめ。


「ふざけ……っ!」


ずる、と体が滑る。
落ちる、と悲鳴を上げる。



すぐに受け止められ、再びエドガーの腕の中に収まった。


ただ、さっきと違うのは。
「可愛い悲鳴を上げるものだね」
「うっるさい!」


バクバクとなる私の心臓と、咄嗟にエドガーの首に手を伸ばし、全力で抱き返してしまったことである。己の失態を恥じるが、あれは全部エドガーのせいだ。


ルカとギルバートがエドガーに向かってとてつもない殺気を飛ばしていた。