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第37話

私にできること
「……あっ」

泣き疲れて眠っていたらしい。
メリーがほっとした様子で私の目元を拭ってくれた。


メリーがいるってことは……ここは、避難所か。
見渡せば、他にもたくさんの人々が集まっていた。
皆喧嘩こそ起こっていないが、暗い顔をしていたり、怒りや憎しみなど、負の感情にのまれている。



そして、私も。


強くエドガーのことを考えていたせいか、エドガーの夢まで見てしまった。



「……落ち着け、私」


ざっと見たところ、怪我人の中には夜狼のメンバーもいて、隅でジェイムズが彼らをまとめているところらしかった。


ルカも、近所の人々に声をかけたり、情報屋の連絡網をフルに稼働し、被害情報の共有と包帯や傷薬を集めているとのこと。



さっきは、最悪の未来を予想して剣を落としてしまった。
正直、もう二度と握れる気がしない。


握ったとしても、もう戦うことなんてできない。



「……っ」
なんてバカなことをしたんだろう。
足を引っ張ってばかりで。

自分を強く嫌悪する。軽蔑する。
臆病で、力もないくせに意地を張って。


「彼のことは残念ですが、あれはお嬢様が悪いわけではありません。『仕方なかった』ことです」


口下手なザルクが、私を励ましてくれる。



私が剣を落とそうが落とすまいが、ああなっていたと。


「……」


今。この異常な事態の真相に勘づいているのは、おそらく、私とエドガーだけ。
落ち込むな。項垂れるな。

自分を律して、自分にできることをやるんだ。


「取り乱してごめんなさい。ありがとう。……ジェイムズたちのところに行ってくるわ」



エドガーは私を次期番長にと望んだ。
ジェイムズにさえ、『仮』番長としてその権威を譲ったというのに。


その私が今するべきことは。


自己嫌悪に陥ることではない。
それは後でだってできるんだ。


ジェイムズのところへ足を運べば、皆の視線が私を貫いた。
そこに悪意はない。ただ、失意が、諦念が。皆の心を占めていた。



「ごめんなさい!!」


頭を下げた。


「あなたたちの大切な番長を連れて帰れなかった。足を引っ張ることしかできない私が囮になるべきだったのに…!!」


返答はない。
ただ、沈黙が。


「今から話すことは推測──だけれど。きっと、エドガーの考えと一致していると思うの。だから、どうか聞いて欲しい」


エドガーは、生きている。
確信があった。

捕まっているけど、大きな怪我もないはずだ。



なぜなら。


「彼らの背後には隣国がある。そして、彼らがやっていることは『商品の補充』」