無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第34話

答え合わせ
「ぎゃあっ!」


ザルクに放り投げられる。
どうにか地面に着地するが、すさまじい剣の交じる音がして、何かが地面を濡らした。

私の靴も少し汚れた。



その赤いものを見て、少しくらりときてしまう。



「前向けバカ!」


エドガーの声にはっとする。

そこには、筋肉だるまみたいな男が猛然とこちらに向かってきていた。

夜狼の連中じゃない。
この一年で、私は夜狼の人たちとわずかながら交流があった。
彼らの顔と名前を覚えるのは、頭の良いレベッカの脳ならば簡単なこと。


「ーーっ!」


愛剣で攻撃をいなす。
すごい力で吹き飛ばされてしまいそうだ。

「はっ、見ろよ……別嬪だぜ」
「こんなところになんでいるのかわからねぇが……」
「おい、嬢ちゃん、いいことしようぜぇ……」
「変態だな。そんな趣味だったのかよ。まだチビだぜ? 色気の欠片もねぇ」


げらげらと、下品な会話を目の前でされ、私は顔をしかめる。
でも、なんだか。

「……ねぇギルバート、私ってやっぱり別嬪なのかな」
「お前今それが気になるのか!?」


いやぁ、褒められることってなかなかないから……。



「おい、もっと怒れよ! お前今、すげぇバカにされてんだぞ! いつもみたいに怒れよ!」



不思議と怒りが沸いてこないのだ。
なぜだろう。

「……あなたたちなんて、私の両親と比べればずっと『善人』だわ」


なんだ。
この程度か。

そう思えてしまえば、さっきまで感じていた恐怖はなくなっていた。
「はぁ!? このガキ、何をーー」
「だって、そうじゃない」


相手の攻撃の力を利用して捻り返す。
相手の武器が手から飛んで、私の手に収まった。それをボキリと折る。


「実の娘を監禁したりしないでしょう? 暴力を振るったりしないでしょう? 火であぶったりしないでしょう? 指の爪をはぐことも、食事にガラスの破片をいれることも、お気に入りの人形を目の前でバラバラにすることも、泣く私を踏みつけて高笑いすることも、無視をしたり、毒を盛ったり、死ねと罵ったり、使用人に言いつけて私を殺そうとしたりーーしないでしょう?」


大丈夫。わかっている。


「きっとーーあなたがたは、善人よ。根っからの悪人なんて、この世界に三人だけで十分だもの」



あぁ。
気持ちがいい。
武器を奪って破壊していく。

暇があれば意識を刈り取る。



なんだか、気分が高揚していた。
私の中の『レベッカ』が。『悪役令嬢』レベッカが。


歓喜に震えて悪を行う。
「私の愛すべき両親と……私。そうでしょう?」



敵の呻き声が返事をした。

「……レベッカ?」



その声にはっとして振り向けば、信じられないというように、ギルバートが私を見ていた。