いつもはイヤホンで音楽を聞きながら勉強するけど、今日はしなかった
それが間違いだった、と後々後悔した。
ああ、イヤホンしてればよかった。
コイツは、私が世界一嫌いな長谷川海都。
私より勉強してないくせに私より成績がいい
「天才」っていうのは、コイツみたいな奴のことを言うのかなって思う。
吐き捨てる様に言い、勉強に集中した。
なんか言ってたような気がするけど、集中し始めた私には届かなかった。
急いでイヤホンを取り出し、音楽をかける。
アイツは、結構お金持ちの息子らしい。
何より、いつも幸せそうに笑ってるアイツは、ウザい。
私の苦労も、私の気持ちも、何も知らないで。
いつも幸せそうに笑ってるアイツが
とても羨ましかったんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!