第24話

プリンセス要らずの王子様 3
1,541
2024/04/08 08:07
※嘔吐表現あり(今言う??)
※文字多め
















ヒロ目線


俺は昔から学校の皆や近所の人達に愛されていた


すれ違えば必ず振り返って挨拶したり手を振るし、食べ物やお金をくれた時だってある



誰でも仲良く接してたのに

みんなに愛されてたのに






その幸せな日常が突然崩れた






A子
ヒロくん、ちょっといい...かな
中2のある日、とある女子に呼び出された
その子は学年1美人で可愛いと噂の子だった



A子
あの...ね、私、小学校で同じクラスになった時からヒロくんの事が好きなの...!
A子
私、今まで男の子に興味なかったけど…こんなに好きになったのは初めてで!
A子
良かったら...付き合って欲しいです...!!
俺は別に気になってないし、申し訳ないけどそもそも存在すら最近知った

だから断ろうとした
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
気持ちは嬉しいよ、ありがとう
でも__
その時

突然ぞわっと全身に鳥肌が立ち、強烈な吐き気に襲われた
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
ゔっ...
A子
? どうしたの?ヒロく_
慌てて口を抑えた
心配したのか、相手が俺の肩に触れた




触れられた瞬間、胃から何かが来る感じがして
その手を瞬時に振り払った

相手はその場で尻もちを付いた



それでも抑えることができずに、相手の体へ向かって戻してしまった
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
お”ぇ”っ”










「ほら、あの人だよ」

「A子ちゃん突き飛ばして吐いたんだって」

「ほんと最低だよね〜...」

「A子ちゃん告白してたんでしょ?ほんと可哀想」

「ちょっと前まではイケメンで優しくて良いなって思ってたのに

まさかあんな人だとは思わなかったよ」

「あれ、A子ちゃんまた体操着?まだ取れないの?」


A子
...うん、臭い中々取れなくて
A子
そろそろ買い直そうかなって思ってるんだ
そう言ってA子ちゃんは俺の方を見た

ニコっと微笑んでいたけど



目が笑ってなかった













女子に話しかけるとよく吐くようになった


病院で診断した結果、「女性アレルギー」にかかったらしい




それ以来女子に近づかなくなった




母親も気遣って、俺に用がある時は父親に言って、それを父親が俺に伝える。

女性が触れたものにも反応する為、女性が触れたものには必ず除菌シートで拭いている





かなり遠くに引っ越した。
噂が俺の地元殆どの人に知られて、居られなくなったから。

高校はその近くのからぴち学園っていうところに入った、寮があった
両親から保健室の先生に伝え、保健室登校にしてもらった


だから高校3年になるまでは殆ど授業に出なかった

保健室の先生は女性だから保健室に行く事が出来ない為、寮の部屋で1人本を読んだり勉強したりした。




部活は女性がいない男子テニス部に入った
これだけはちゃんと行ってる
部員
危ないっ!!
高2のある日、寮のそばにある花壇で水やりをしていると、後ろから何かが飛んできた

振り返ると同時に、サッカーボールが俺の頬に直撃した











ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
ッ...
部員
大丈夫!?うわっ血!!
部員
保健室連れてここれやばいって
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
い...や、大丈夫です、こんなの行かなくても
部員
いやいやいやダメだろ行かなきゃ!!
部員
急げ急げマジで血止まんねぇ

結局強制的に連れていかれた

また吐いてしまう、もう嫌だ
ここまで逃げてきたのに




また居場所を無くすのかな
部員
...あれ?先生いない?
幸い先生はいなかった
でも鍵が掛かっていなかったし、明るい
のあ (高1)
のあ (高1)
...?
部員
あっ、のあちゃん!
のあ (高1)
のあ (高1)
...××先輩?
...嘘でしょ
よりによって女の子いるとか

青いリボン、1年生だ
部員
あ、俺の妹の友達な ボソ
部員
先生いない?
のあ (高1)
のあ (高1)
スクールカウンセラーに呼ばれて行っちゃいました
部員
まじかよ〜...のあちゃんって手当できる?
のあ (高1)
のあ (高1)
はい、まぁ...簡易的な手当ては一応
部員
こいつ手当してくんね?ボールぶつかっちゃって
と、腫れた頬から血を流している俺を指した
のあ (高1)
のあ (高1)
うわぁ...そこ座って下さい、すぐ手当しますね
部員
ほれ座れ、俺もう行くからな!部活途中で抜け出したしコーチ怒るわ
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
え、ちょ
女性と2人きりになってしまった




のあ (高1)
のあ (高1)
消毒、塗るのでじっとしてて下さいね
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
今、女性に頬を触られている
気持ち悪い
のあ (高1)
のあ (高1)
今ガーゼ貼ったので、その上からこのアイスバッグ当てて腫れが治まるまで冷やしてて下さい
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
胃がゴロゴロする
のあ (高1)
のあ (高1)
...クマ、凄いですね
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
のあ (高1)
のあ (高1)
それに、すごく細い...ちゃんと食べてますか?
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...関係ない
...から、こっち来ないで
傷付けちゃうから...嫌な思いさせちゃうから...
のあ (高1)
のあ (高1)
しっかり食べないと、上手くスマッシュ打てないですよ?
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
っえ...なんで知って...
のあ (高1)
のあ (高1)
私が住んでる部屋、窓からテニスコートがよく見えるんです
のあ (高1)
のあ (高1)
それでよく、部活動の時間でもないのに先輩が1人でテニスしてるから…気になって、
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...え?
のあ (高1)
のあ (高1)
保健室の先生からお話聞いたんです
のあ (高1)
のあ (高1)
授業に全く出ていない、と
のあ (高1)
のあ (高1)
それ以上のことは何も教えてくれませんでしたが…何か、悩み事があるんですか?
俺、1年に心配されてこんな

情けないなぁ...
のあ (高1)
のあ (高1)
…無理しないでください、無理して笑ってる先輩見たくないです
のあ (高1)
のあ (高1)
ちゃんと...心から楽しそうに笑って、テニスをするヒロ先輩が見たいです
彼女は微笑んだ
途端に、気持ち悪かった胃が落ち着いた気がした

...なんで?






いつの間にか俺は目を見開いて泣いていた





















ヒロ
ヒロ
その時からなんだろうな...俺



ヒロ
ヒロ
のあさんのことが気になり始めてたんだ
心から、のあさんが良いって思っちゃったんだ
のあ
のあ
...
ヒロ
ヒロ
欲と吐瀉物まみれの俺を見ても何も嫌がずに、こうやって普通に話しかけてくれるのはのあさんが初めてだよ
のあ
のあ
...ヒロ先輩
ヒロ
ヒロ
でも、これは俺の身勝手な恋心だから...返事はいらない
けど俺はこれからも、ずっとのあさんの事を想い続ける
ヒロ
ヒロ
チャンスが来たら...全力で取りに行くよ
だから、待ってて
のあ
のあ
......はい












のあ
のあ
待ってます
のあさんは微笑んだ

あの時と同じ優しい顔だった・・・



















ヒロ
ヒロ
なおきりくん
なおきり
なおきり
あっ、ヒロ先輩!!体調不良治ったんですか!?
ヒロ
ヒロ
ん、ごめんね1人にしちゃって
ヒロ
ヒロ
練習しよっか!
なおきり
なおきり
はいっ!!



女子寮を見上げると、窓からのあさんが見ていた


俺は手を上げてピースをした

のあさんも手は上げないがピースをする



そして俺はなおきりくんの元へ行った







絶対、予選突破するから


それで、ちゃんとのあさんに言うんだ

















「好きだ」って










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