第24話

プリンセス要らずの王子様 3
1,407
2022/04/17 02:21
※嘔吐表現あり(今言う??)
※文字多め
















ヒロ目線


俺は昔から学校の皆や近所の人達に愛されていた
すれ違えば必ず振り返って挨拶したり手を振るし、食べ物やお金をくれた時だってある

誰でも仲良く接してたのに
みんなに愛されてたのに
その幸せな日常が突然崩れたんだ






A子
ヒロくん、ちょっといい...かな
中2のある日、女子に呼び出された
その子は学年1美人で可愛いと噂の子だった



A子
あの...ね、私、小学校で同じクラスになった時からヒロくんの事が好きなの...!
A子
何度も他の男子に告られてきたけど、それよりもヒロくんの事で頭いっぱいで
A子
良かったら...付き合って欲しいです...!!
俺は別に気になってないし、申し訳ないけどそもそも存在すら最近知った

だから断ろうとした
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
気持ちは嬉しいよ、ありがとう
でも__
その時、強烈な吐き気に襲われた
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
ゔっ”...
A子
?!ど、どうしたのヒロく_
慌てて口を抑えた
心配したのか、相手が俺の肩に触れた




触れられた瞬間、胃から何かが来る感じがして
その手を瞬時に振り払った
相手はその場で尻もちを付いた

それでも抑えることができずに、相手の体へ向かって吐いてしまった
ヒロ (幼少期)
ヒロ (幼少期)
お”ぇ”っ”










「ほら、あの人だよ」

「A子ちゃんを突き飛ばして体向かって吐いたんだって」

「ほんと最低だよね〜...」

「ちょっと前まではイケメンで優しくて良いなって思ってたのに

まさかあんな人だとは思わなかったよ」

「あれ、A子ちゃんまた体操着?まだ取れないの?」


A子
...うん、臭い中々取れなくて
A子
そろそろ買い直そうかなって思うんだ
そう言ってA子ちゃんは俺の方を見た

ニコっと微笑んでいたけど



目が笑ってなかった













女子に話しかけるとよく吐くようになった


病院で診断した結果、「女性アレルギー」にかかったらしい
それ以来女子に近づかなくなった
母親も気遣って、俺に用がある時は父親に言って、それを父親が俺に伝える。

女性が触れたものにも反応する為、女性が触れたものには必ず除菌シートで拭いている





かなり遠くに引っ越した。
噂が俺の地元殆どの人に知られて、居られなくなったから。
高校はその近くのからぴち学園っていうところに入った、寮があった
両親から保健室の先生に伝え、保健室登校にしてもらった


だから高校3年になるまでは殆ど授業に出なかった
保健室の先生は女性だから保健室に行く事が出来ない為、寮の部屋で1人本を読んだり勉強したりした。

部活は女性がいない男子テニス部に入った
これだけはちゃんと行ってる
部員
危ないっ!!
高2のある日、寮のそばにある花壇で水やりをしていると、後ろから何かが飛んできた

振り返ると、サッカーボールが俺の頬に直撃した











ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
ッ...
部員
大丈夫?!うわっ血!
部員
保健室連れてこ連れてこやばいって
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
い...や、大丈夫です、こんなの行かなくても
部員
いやいやいや行くべきだってこれ!
部員
早く連れてけマジで血止まんねぇぞ

結局強制的に連れていかれた

また吐いてしまう、もう嫌だ
ここまで逃げてきたのに
また居場所を無くすのかな
部員
...あれ?先生いない?
幸い先生はいなかった
でも鍵が掛かっていなかったし、明るい
のあ (高1)
のあ (高1)
...?
部員
あっ、のあちゃん!
のあ (高1)
のあ (高1)
...××先輩?
...嘘でしょ
よりによって女子いるとか

青いリボン、1年生だ
部員
あ、俺の妹の友達な ボソ
部員
先生いない?
のあ (高1)
のあ (高1)
スクールカウンセラーに呼ばれて行っちゃいました
部員
まじかよ〜...のあちゃんって手当できる?
のあ (高1)
のあ (高1)
はい...一応
部員
こいつ手当してくんね?
と、腫れた頬から血を流している俺を指した
のあ (高1)
のあ (高1)
うわぁ...そこ座って下さい、すぐ手当しますね
部員
ほれ座れ、俺もう行くからな!部活途中で抜け出したしコーチ怒るわ
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
え、ちょ
女性と2人きりになってしまった




のあ (高1)
のあ (高1)
消毒、塗るのでじっとしてて下さいね
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
今、女性に頬を触られている
気持ち悪い
のあ (高1)
のあ (高1)
今ガーゼ貼ったので、その上からこちらのアイスバッグで冷やして下さい
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
胃がゴロゴロする
のあ (高1)
のあ (高1)
...クマ、凄いですね
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...
のあ (高1)
のあ (高1)
それに、すごく細い...ちゃんと食べてますか?
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...関係ない
...から、こっち来ないで
傷付けちゃうから...吐いちゃうから...
のあ (高1)
のあ (高1)
しっかり食べないと、上手くスマッシュ打てないですよ?
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
っえ...なんで知って...
のあ (高1)
のあ (高1)
先輩が心配で窓から見てるだけです
ヒロ (高2)
ヒロ (高2)
...え?
のあ (高1)
のあ (高1)
ここに入ってすぐ先輩を見かけました
のあ (高1)
のあ (高1)
ですが、友達のお兄さんから聞いたところ授業には全く出ないとのことでした
のあ (高1)
のあ (高1)
もしかしたらと思い保健委員会に入ったのですが...やっぱりそうなんですね
俺、1年に心配されてこんな

情けないなぁ...
のあ (高1)
のあ (高1)
無理しないでください、無理して部活をするヒロ先輩を見たくないです
のあ (高1)
のあ (高1)
ちゃんと...楽しそうにテニスをするヒロ先輩が見たいです
彼女は微笑んだ
途端に、気持ち悪かった胃が落ち着いた気がした

...なんで?






いつの間にか俺は目を見開いて泣いていた





















ヒロ
ヒロ
その時からなんだろうな...俺



ヒロ
ヒロ
のあさんに想いを寄せていたんだ
のあ
のあ
...
ヒロ
ヒロ
欲と吐瀉物まみれの俺を見ても何も嫌がらないのはのあさんが初めてだった...
心から、のあさんが良いって思っちゃったんだ...
のあ
のあ
...ヒロ先輩
ヒロ
ヒロ
でも、これは俺の偏見だから...返事はいらない
けど俺はこれから先、ずっとのあさんの事を想い続ける
ヒロ
ヒロ
チャンスが来たら...全力で取りに行くよ
だから、待ってて
のあ
のあ
......はい












のあ
のあ
待ってます
のあさんは微笑んだ

あの時と同じ優しい顔だった・・・



















ヒロ
ヒロ
なおきりくん
なおきり
なおきり
おわっ、ヒロ先輩!!体調不良治ったんですか?!
ヒロ
ヒロ
ん、ごめんね1人にしちゃって
ヒロ
ヒロ
練習しよっか!
なおきり
なおきり
はいっ!!



女子寮を見上げると、窓からのあさんが見ていた
俺は手を上げてピースをした
のあさんも手は上げないがピースをする
そして俺はなおきりくんの元へ行った

絶対、予選突破するから


それで、ちゃんとのあさんに言うんだ





「好きだ」って




のあ
のあ
......あっ
のあ
のあ
......楽しそう






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