※嘔吐表現あり(今言う??)
※文字多め
ヒロ目線
俺は昔から学校の皆や近所の人達に愛されていた
すれ違えば必ず振り返って挨拶したり手を振るし、食べ物やお金をくれた時だってある
誰でも仲良く接してたのに
みんなに愛されてたのに
その幸せな日常が突然崩れたんだ
中2のある日、女子に呼び出された
その子は学年1美人で可愛いと噂の子だった
俺は別に気になってないし、申し訳ないけどそもそも存在すら最近知った
だから断ろうとした
その時、強烈な吐き気に襲われた
慌てて口を抑えた
心配したのか、相手が俺の肩に触れた
触れられた瞬間、胃から何かが来る感じがして
その手を瞬時に振り払った
相手はその場で尻もちを付いた
それでも抑えることができずに、相手の体へ向かって吐いてしまった
「ほら、あの人だよ」
「A子ちゃんを突き飛ばして体向かって吐いたんだって」
「ほんと最低だよね〜...」
「ちょっと前まではイケメンで優しくて良いなって思ってたのに
まさかあんな人だとは思わなかったよ」
「あれ、A子ちゃんまた体操着?まだ取れないの?」
そう言ってA子ちゃんは俺の方を見た
ニコっと微笑んでいたけど
目が笑ってなかった
女子に話しかけるとよく吐くようになった
病院で診断した結果、「女性アレルギー」にかかったらしい
それ以来女子に近づかなくなった
母親も気遣って、俺に用がある時は父親に言って、それを父親が俺に伝える。
女性が触れたものにも反応する為、女性が触れたものには必ず除菌シートで拭いている
かなり遠くに引っ越した。
噂が俺の地元殆どの人に知られて、居られなくなったから。
高校はその近くのからぴち学園っていうところに入った、寮があった
両親から保健室の先生に伝え、保健室登校にしてもらった
だから高校3年になるまでは殆ど授業に出なかった
保健室の先生は女性だから保健室に行く事が出来ない為、寮の部屋で1人本を読んだり勉強したりした。
部活は女性がいない男子テニス部に入った
これだけはちゃんと行ってる
高2のある日、寮のそばにある花壇で水やりをしていると、後ろから何かが飛んできた
振り返ると、サッカーボールが俺の頬に直撃した
結局強制的に連れていかれた
また吐いてしまう、もう嫌だ
ここまで逃げてきたのに
また居場所を無くすのかな
幸い先生はいなかった
でも鍵が掛かっていなかったし、明るい
...嘘でしょ
よりによって女子いるとか
青いリボン、1年生だ
と、腫れた頬から血を流している俺を指した
女性と2人きりになってしまった
今、女性に頬を触られている
気持ち悪い
胃がゴロゴロする
...から、こっち来ないで
傷付けちゃうから...吐いちゃうから...
俺、1年に心配されてこんな
情けないなぁ...
彼女は微笑んだ
途端に、気持ち悪かった胃が落ち着いた気がした
...なんで?
いつの間にか俺は目を見開いて泣いていた
心から、のあさんが良いって思っちゃったんだ...
けど俺はこれから先、ずっとのあさんの事を想い続ける
だから、待ってて
のあさんは微笑んだ
あの時と同じ優しい顔だった
女子寮を見上げると、窓からのあさんが見ていた
俺は手を上げてピースをした
のあさんも手は上げないがピースをする
そして俺はなおきりくんの元へ行った
絶対、予選突破するから
それで、ちゃんとのあさんに言うんだ
「好きだ」って
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。