第8話

彼女の声が聞こえない
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2023/01/09 07:00
村瀬 タクヤ
…………はぁーー…
怒られるだろうな、「だから言ったでしょ!私はタクヤのことを思って言ってるんだよ?!」

大声で喚く彼女の姿が目に浮かぶ。姿っていうか…耳に浮かぶ?
村瀬 タクヤ
…(まぁ、)
わかってはいたけど。
井田
「へ、え?…もー!からかわないでよ!私マジで今一瞬信じて…」
井田
「な、何言ってんの?…ごめん、よく分からない。コンパスが好きってこと…?」
井田
「………………ねえ、言いたくないけどさ。」
井田
「好きだから言うの、いつもだったら、絶対離れてる…愛想笑いで済ませる。でもね、」
井田
「あのさ、コンパスは喋らないよ…?困惑すると思うけど、お願いだからさ、」
井田
「病院行こ?大丈夫、私も一緒についてってあげるから…!」
あれが正常な反応か…


昔よりも生々しかったな。前カミングアウトしたのは小一の頃だったし、子供だからで許されていた部分もあったのかもしれない。
村瀬 タクヤ
………………。
あれ?おかしい。



てっきり怒られるかと思ってたのに…
村瀬 タクヤ
あのー、コンパスさん?
………返事が、ない。
村瀬 タクヤ
あー、そういうことですか。怒って無視してるってこと?
村瀬 タクヤ
…あの、謝りますからやめてください?いやマジで。僕コンパスがいないと…
村瀬 タクヤ
…ごめんなさい!もうしないっ、ほら、勉強だってちゃんとするし!!友達は…
村瀬 タクヤ
まぁ、仲良くしようとはする!それでいいだろ!
村瀬 タクヤ
なぁ……あの、本当にやめてください。
村瀬 タクヤ
お願いします…………。



◆◆◆


あれから、数週間がたった。



声は思い出せる。話した内容も思い出せる。けど……
村瀬 タクヤ
…今までのが全部幻聴だった、なんて言わないよな?
村瀬 タクヤ
なあ、無視してるんだよな?怒ってるんだよな?それだけ、なんだよな…?
もしこのまま、コンパスが喋らなかったら───────。

病院、クソ喰らえだ。


僕は頭がおかしくなんかない。コンパスは生きていたんだ。確かに声を聞いた。話を聞いた。ずっとそう生きてきた。



このまま声が聞こえなかったら?
僕は目移りなんかする気がない。女の体には興奮しない。きっといつかまた話してくれる。
村瀬 タクヤ
はぁ…ッ……は、…♡
でも。
村瀬 タクヤ
ふ……ッん、…んん…ッ♡♡
なんで声が漏れない?


ここまでえろい気持ちで触ってるのに、コンパスが我慢できるか?

まさか、本当に…
村瀬 タクヤ
(あーくそ、)
ムラムラしねぇ。出ねぇ。
村瀬 タクヤ
………………最後に確認する。
村瀬 タクヤ
コンパスが黙ってるだけなのか、そうじゃないのか。
僕は最終手段に出た。


コンパスを手に取り、僕は自分の目に針を刺す。
村瀬 タクヤ
ん"あ"ッ、ぁ"……ぅ"
村瀬 タクヤ
い"ッ、てぇ……。
村瀬 タクヤ
………わかっ、たか。…はなさ、ないなら。もうひとつの目にも、さす。
村瀬 タクヤ
あー…首に刺すのもいいかもな。
村瀬 タクヤ
お前の体で俺は、死ぬ─────
コンパス
バカタクヤッッ!!!
村瀬 タクヤ
…は、………はは、
村瀬 タクヤ
久しぶりに、きいたな……
コンパス
バカ!!早く病院っ、目は?!ねぇ、血がっ!バカ!!本当にバカ!!!何してるのッ!!!
村瀬 タクヤ
……別に、こうするのが手っ取り早いと思って。実際話せたし……
コンパス
早く病院行って!!!じゃないとまた話さないから!!!!もうっ、許さないからね?!?!
既に許さない段階じゃなかったのかよ…一生話さないつもりだったくせに、、

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