私は朝、1人シュート練をしようと体育館に向かった。
向かってすぐ誰かが1人ボールをついている音が聞こえた。
こんな時間に誰だろうか。そんなことを考えながらも
ガラガラっと体育館とドアを開けた。
なんだ優かと思い、
私はボールを持ってシュート練を始めた。
と、ボソッと優が呟いた。
ふざけて笑いながら言う。
まあ優に女の子って思われなくてもいいんですが。
優がブハッと笑いを吐きだした。
笑ってた顔から急変し、
私にそう言った優の顔は真剣な顔だった。
私はどうせこれもからかいだろうと思っても
正直少し嬉しかったがドキドキまではしなかった。
少し嬉しかった気持ちを抑え私は突き放すようにこう言った。
少し自分の気持ちに嘘をついたが
この嬉しさが恋愛なんて一切思わなかった。
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1時間目は私の好きな数学だ。
授業が始まると普段は集中できるのになぜだか集中出来ない。
“俺にとってお前はちゃーんと女だよ”
さっき優に言われた言葉がフラッシュバックした。
そう心の中で唱え授業に集中し、ようやく1時間目が終わった。
今日はあいつのせいで長い1日になりそうだと私は悟った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!