「いってきます」
この言葉は今日まででおしまい。
そう、今日は卒業式。
『あ、あなたおはよ〜お』
「あ、重岡おはよー」
卒業したくないなぁ。
離れちゃうんだもん。
“好きな人”と。
『今日で卒業やな』
「そうやねぇ〜早かった」
告白したいけどこの関係を崩したくない。
ずっと仲良くしてたい。
だから、卒業なんて来なければよかったのに。
卒業式が終わって、
〈重岡先輩!ちょっといいですか...?〉
『お、なんや、?』
あぁ、多分告白だ。
なんて答えるんだろ、
ついてきてしまった。
〈...ずっと、私重岡先輩が好きでした。〉
〈付き合ってください...!!〉
やっぱりな、確かに重岡モテるもん。
それなりにイケメンやし。
先に告白しとけばよかったかなぁ。
と、後悔するばかりだったけど、
『俺、好きな人おんねん。ごめんな、』
『いつも明るくてな、話してて楽しい。
あいつのことが好きやねん。』
〈...っ、あ、いえ!ありがとうございます...〉
半泣きで走って校舎に戻る。
『...なぁ?あなた』
「...っ、え、?」
『ずっとおったんやろ?』
「え、あ、気づいてたん?」
『...ずっとあなたが好きやった。付き合って欲しい。』
「.....うんっ、当たり前やんっ、!」
そして重岡に抱きつく。
『...え、ほんま?』
「うん、ほんま、」
『嘘やな...い?』
「嘘やない」
『うっわ、ほんま嬉し...』
『大好きやで』
そう言って耳を赤く染めたあなたを
夕日が差していた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。