あの時の思い出がずっと降り掛かってくる。
「なんで、なんであん時引き止めなかったんや」
それはもう一年前になる。
俺と彼女のあなたは倦怠期で。
喧嘩しっぱなしだった。
もうそん時は付き合って3年目で
同棲もしていた。
そろそろ、結婚もええ時かなぁって
考えてた。
ー
『私にはもう興味ないんでしょ』
「だから、ちゃうって言うとるやんけ!」
『じゃあなんでなんも話してくれへんの?』
『…っ、あぁ〜、もう、うるさいわほんま。』
その時に彼女は
『もう、いいよ。じゃあね。』
そう言って財布とコートと携帯を持って
どこかへ出かけてしまった。
翌日になれば帰ってくると思って
1日待った、
けど、あなたは帰ってこなかった。
それから1年経った今日。
俺は、あなたを見つけた。
いや、あなたに似た花を見つけた。
『あなた元気か?』
『俺は、元気や。』
『なぁ、もう、この世には帰って来おへんの、?』
返事は、ない。
一年前の今日あなたはここで
事故にあった。
『…これからも、ずっと好きでした。』
目の前の花が俺に優しく微笑んだ気がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。