第8話

“ 好きでした ” × D.S side
2,088
2019/02/26 10:01



あの時の思い出がずっと降り掛かってくる。




「なんで、なんであん時引き止めなかったんや」


それはもう一年前になる。


俺と彼女のあなたは倦怠期で。



喧嘩しっぱなしだった。




もうそん時は付き合って3年目で
同棲もしていた。



そろそろ、結婚もええ時かなぁって
考えてた。









『私にはもう興味ないんでしょ』




「だから、ちゃうって言うとるやんけ!」



『じゃあなんでなんも話してくれへんの?』



『…っ、あぁ〜、もう、うるさいわほんま。』




その時に彼女は


『もう、いいよ。じゃあね。』



そう言って財布とコートと携帯を持って
どこかへ出かけてしまった。




翌日になれば帰ってくると思って
1日待った、















けど、あなたは帰ってこなかった。





それから1年経った今日。





俺は、あなたを見つけた。














いや、あなたに似た花を見つけた。







『あなた元気か?』
『俺は、元気や。』

『なぁ、もう、この世には帰って来おへんの、?』





返事は、ない。





一年前の今日あなたはここで
事故にあった。













『…これからも、ずっと好きでした。』













目の前の花が俺に優しく微笑んだ気がした。

プリ小説オーディオドラマ