ヒョンジンがシャワーから出てくると、スンミンはもう机の前にいて、小さなノートを開いていた。
(あ、また日記書いてる)
スンミンは毎晩、数行だけ自分のことを綴る時間を大切にしてる。
ヒョンジンはそれがちょっと羨ましくて、でも、なんとなく“神聖な時間”みたいで、あえて内容を聞いたことはなかった。
ぽそっと言って、ノートを閉じずに立ち上がる。
(あ、閉じないんだ……)
無意識のまま、視線がノートのページに吸い寄せられる。
『ヒョンジナ、今日も妄想爆発してた。』
『犬のくだりはさすがに笑いそうになったけど、ちょっと…かわいかった。』
『あんなに照れてくれるの、やっぱり嬉しい。』
『でも、寝たふりはやっぱり許さん。笑』
…………
………………
えっっっ…………
顔に熱が集まってるのが分かる。
心臓が痛いくらいドクドク跳ねる。
震える手でページを閉じかけたとき――
スンミナが、いつのまにか横に立っていた。
顔に火がついてるんじゃないかってくらい熱くて。
恥ずかしくて。
クッションに顔をうずめる。
「ちょっと」と言われ断罪を待つ者のように顔をゆっくりとあげる。
スンミナはため息をつきながら、でもどこか困ったように笑っていた。
意外に怒って……ない?














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!