第158話

ひゃくじゅーはち
9,359
2022/09/11 22:48
緑谷が入院する病院。


気配を消してドアの前に立ってみると、
中から声が聞こえてきた。



飯田と緑谷の声だろうか。




飯田天哉
飯田天哉
~~助け~っ
緑谷出久
緑谷出久
~~!!!かっちゃん~~……



会話のすべてがわかる訳では無いが、
声のトーンや、少しの単語なら掴めた。




やっぱり、勝己を助けに行くつもり。



まあ、それは勝手にしたらいい。




私には関係の無いこと。


とりあえず任務さえ遂行すれば、あとは
知りませんでした。
で通る。




きちんと"私のいない所で"作戦立てろよ、

お前ら。






私は花束を病室の前にそっと置いて、
その場を去った。



ーーーー


緑谷side



飯田天哉
飯田天哉
?……緑谷くん、ドアのまえにこんな物が
置かれていたけど、君のかい?
緑谷出久
緑谷出久
!!……うん、多分ね


薄ピンクの花々に、華やかな黄色のワンポイント。



僕の思い違いかもしれないけど、
これを連想させるのは……



緑谷出久
緑谷出久
(菱川さん、だよね)


あの人も僕らを応援してくれてる。


どこを聞かれてたのか分からないけど、
多分大方察しているはずだ。






……本当に暖かい人だな。




緑谷出久
緑谷出久
僕、やっぱり行くよ
飯田天哉
飯田天哉
!?……本当にそれでいいのかい?
緑谷出久
緑谷出久
うん。かっちゃんは、僕たちのクラスメイトだ。
仲間なんだ。
そうである限り、僕らが、お互いを助けないと行けないと思うし、その責任があると思う。


すると、飯田くんは少し顔をほころばせて、
こう言った。



飯田天哉
飯田天哉
……そうか、それが聞けてよかったよ。
それじゃあ、また今夜。




やっぱり、菱川さんはすごい人だ。



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