と、背後から誰かがベルバイルの急所に光線銃を連射した。攻撃で弱ったベルバイルが後ろを振り返る。そこには、光線銃を構えたホストが立っていた。
ジュンがホストの隣に立ち、二ヒヒと笑った。
ベルバイルがぎょっとして背後を見ると、口から血を流して倒れているはずの2人の姿が消えていた。
2人は、ベルバイルから隠れているとき、ジュンがぽつりと、
「嘘でもいいから、飲食店、出したかったな…。」
と言った時、ホストが、
「嘘でもいいから…それだ‼」
とひらめいた後、タノシミから受け取っていた、2台のバーチャルカメラに自分たちの姿を映し、囮となって出てきて殺された後、一瞬のすきを狙って急所を撃ったのだ。
ジュンが叫ぶと、2人は光線銃を構えた。
2人が考えた必殺技名を叫んだ瞬間、光線銃から2つの光が放たれ、ベルバイルに命中した。
と悲鳴が響き渡った後、大爆発が起き、ベルバイルは消滅した。
2人が勝利を確信した後、大きくジャンプをし、互いにハイタッチを交わした。
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一方、猫娘から元の姿に戻ったリヒトはきれいに地面に着地した。よろめいたところをナーガが支える。
2人が見ると、バーボンが闇鐘の首を抑えつけていた。
闇鐘はバーボンを蹴り上げ、攻撃を仕掛けた。バーボンも攻撃を繰り返していく。そして、バーボンの足が闇鐘の腹にクリティカルヒットした。
バーボンが荒い息を繰り返す。その瞬間、背後で爆発が起き、3人が見たころには、もう闇鐘の姿がなくなっていた。
リヒトが理性を取り戻したバーボンに抱き着いた。
ナーガが2人をほめたたえた。ふと、黒色に光る小さな光が、宙に浮き、そのまま外へと飛び出していった。
バーボンの声に3人は光を追いかけて行った。
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一方、ベルバイルとの戦いを終え、ジュンとホストはリヒトたちのところへ戻ろうとしていた。すると、黒い光がジュン目がけてスピードを上げた。
黒い光に気づいたホストは、咄嗟にジュンを突き飛ばし、黒い光が体の中へと染み込んだ。
突き飛ばされて倒れこんだジュンは起き上がりながら名を呼んだ。ふと、ホストの体から黒い光があふれ出し、目の色が赤色へと変化した。
ホストがいきなりうめき声をあげた。
ジュンが訊くが、ホストはうめき声を上げ続けるだけで返事はしてくれなかった。その時、リヒト、バーボン、ナーガがやってきた。3人は突然の異常事態に目を見開いた。
リヒトとバーボンが訊いた瞬間、ホストはいきなりその場にあった椅子を投げつけた。
ホストは暴言を連発しながら、物をどんどん投げつけた。
と叫ぶと、ジュンはホストの元へと走って行った。そしてホストの体を抑えつけると、
ゴチーンッ!
と、鈍い音を立てて頭突きした。
頭突きで弱ったホストの体を抑えつけた後、ジュンは自分の唇とホストの唇を重ねた。
と、キス音が部屋中に響き渡った。
あまりの大胆な行動に、リヒト、バーボン、ナーガは目を丸くした。
そして唇が離された後、ホストは顔を赤らめて、顔を手で隠した。
そんな2人の会話に、ナーガがニヤニヤしながら入ってきた。
2人はあわてて否定するが、リヒトとバーボンまでにからかわれた。
2人が同時に上げた声が、任務施設に響き渡ったのであった。
ちなみに、この2人の衝撃場面は、看守庁内や少年刑務所にある看守専用の部屋で中継されていたため、天鬼や中林をはじめとした看守たちは、大騒ぎになっていたらしい。しかし、この衝撃場面が、他の少年たちに知られることはないのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!