第25話

24 最終話
281
2021/07/24 08:54
五条
で、本体はいつ来るの?
荷物ばっか増えてんだけど。
まとめて引っ越し屋に頼めよ~
あなた

ハハ、ごめんごめん。
来月1日から、お世話になります。
あと一週間だね。

五条
んじゃ、鍵渡しておくわ、
ん。(鍵を渡す)いつでもどーぞ。

これ観よーぜ?結構好きなんだよね~
一緒に住む事になった。
来年から、悟は一年生のクラスの担任になる。
今よりも忙しくなるのは確実と、会える時間も少なくなると言う理由から。
五条
明日買い物いかね?
あなた

うん!久しぶりだね~。ヤッタ。

映画を観ながら、お茶をすする彼を見つめていた。

思えば、学生時代のあの頃、私は自由を手に入れる事ができるなんて1mmも思っていなかった。
高専が敷いたレールに乗るだけの、道具にしか過ぎない。
自分らしくある人生を諦めていた。
そして、私をそこから救ってくれた張本人と一緒に同じ時間を過ごすなんて、誰が想像できただろう。


悟は私をずっと好きでいてくれた。
私も悟をずっと好きでい続ける。
五条
?見とれてんなよ。なに?
あなた

フッ、ううん(首を振る)

五条
なぁ、そういえば
ネックレス着けないみたいだけど
もしかして、失くしたとか?
あなた

ん?あるある、家にあるよ。

五条
何で着けねーんだよ?
毎日着けていたけど、色んな思い出がネックレスにこもっている。
社会人となり新しく歩み出した私には、一段落した思い出のジュエリーとなっていた。
あなた

ごめんごめん。
ずーっと着けてたから、くすんじゃって。しばらくお休みしよーかなぁって思ってさ。

五条
そーなの?
じゃ、クリーニングして貰いにいこーぜ。
明日、あなたん家寄ってから出掛けよっか。
あなた

う~ん。
悟の服を取りに行くなら、今度にしよ?私ん家寄るの手間じゃない。乗り換えしなくちゃだし。

あの頃は悟と遠距離になったから、御守り変りで着けていたって理由もあったしネ…
今は悟が隣に居るから、ネックレスが無くても不安にならない。
確かに渡した物を着けて貰えないのは、気になるし嫌なのも分かるんだけど…ごめんね。
心の中で、そう呟く。
五条
ふーん
次の日はブラブラとウィンドウショピングからスタート。途中、悟の洋服を取りにまわった。
あなた

後は、どこか寄る?

五条
ん、ネックレス買ったとこ。
あなた

え?いや、ネックレス手元にないって。

いーから、行くよ。
スタスタとジュエリー店を目指し始める。

店に着くと、アポなしだからか
慌てて五条家の担当さんが出てきた。
「五条様、本日はいかがいたしましたか?」
五条
どーも。ごめんね~いきなり来て。
今日は、彼女に合うリングを探しに。
なっ。
あなた

え!!

ビックリし過ぎて、声が裏返る。
悟は含み笑いで私を見る。
特別な部屋に通され、担当さんがリングをセレクトして持って来るのを待つことになった。
あなた

(コソ)突然、ビックリなんだけど…
どーしたの?なんで?

五条
ん?そのまんまだけど?
初めから、ここ寄るつもりだったし。
リングはサプライズにしたかったけど、さすがにサイズあるしね。
あなた

え。ホントに貰ったネックレスで十分だから。ホントに。
だし…リングなんて…ダメだって。

五条
なんで?
あなた

え、…お、お高いし…てか、ネックレスで大満足なの!ちゃんと着けるから。
ホントに、冗談やめて、ね?
だし・・理由なく、リングって言われても・・・気持ちは嬉しいケド、気が引け

五条
アワアワしてんなよ~ハイハイ
落ち着けって。つか、何回「ホントに」って連呼してんだか、ハハハ。
嬉しいなら、それでいーんだよ。
五条
そうね…
(サングラスを外し、拭き始める)
理由つけるなら(あなたを見る)
単にあなたを独占したいから、だね。
別に、ネックレスの代替え探しに来た訳じゃねーんだよ。
分かった?
あなた

ドキッ///

お待たせいたしました。と担任さんが数点リングを持ってきた。へ~と彼が前のめりでリングを見始める。

独占したい、て言われ胸がキュンて鳴った。
五条
どれが好き?
色々あんなー。迷うね。
…て言われても・・・
どれも素敵だし、かわいいなぁ。キラキラしてる。
値段も気になるし。選べないよ・・・
五条
これ、いんじゃない?
ん。(着けてあげる)
良くお似合いですよ。と紳士な担任さんが言う。
私も良いなぁって思ったリングだった。
細かなダイヤが散りばめられいる。
あなた

!(左の薬指ですけど~)/////////

五条
(チラッとあなたの顔を見る)ニッ
いーじゃん?
あなた

(ジーっと見つめる)…キレイ

五条
サイズもピッタリだね。
リングなんてちゃんとしたの着けたこと無いし、まして左の薬指て…恥ずかしいけど…
彼の彼女って関係性が確立された様で、
素直に嬉しかった。
五条
これにしよっか。
え゛、本当に?!
有無を言わさず決定し
ラッピングしてもらっていた。
お店を出て、彼宅に帰宅。
その途中もリングの下りでドキドキが止まらない。
―悟宅―
五条
いやー。久しぶりに街出たら眼が疲れんな。あちこちに低級呪霊ウヨウヨだし。祓うまでもないけど、蔓延りすぎだろ…
あなた、下着とか買わなくて良かった?スケスケのヤツとか~。
あなた

//////下着て…すみせんね、地味で。
なんだか、今日は…お腹一杯です。

五条
おいおいおいーっ。
(エクボをつつく)
なんでお前だけ、腹一杯なんだよ~
顔を覗き込みニコニコしてくる。
いつもこんな時、イジワルな笑みを浮かべる彼。
あなた

・・・ハハ…ハ

五条
良かったね~、ナイスガイからリング買って貰ってー。
自分でも良くわからない感情。
リングの意味合いを私は重く捉えてるみたい。
…結婚?とか。な訳ないかぁ…
五条
・・・僕はさ
ソファーに座り、隣に座るようトントンとソファーを叩く。
五条
上のジジイ等に良く思われてないじゃん。知ってるだろ?
目の上のたんこぶて感じだろうね。
別にどーでもいーんだけどさ。
アイツ等はいずれ僕の変革を消すために、僕自身を狙ってくるよ。
…どんな手を使ってでもさ。
あなた

・・・ん。

何となく分かっていたことだけど、本人の口から言葉にして言われると、切なくなる。
五条
これからは僕に並ぶくらいの人材が必要なんだ。教師として、強い仲間となる次世代を育成して、呪術界を底上げしなければならない。
それにはもう時間がないんだよね。
五条
でだっ!
あなた

ビクッ
な、なに?ビックリしたぁ。

五条
ハハハ。ビックリした?
あなたがここに居てくれたら…どんなに多忙でも、安心していられるんだよね。僕が。
側に居てくれるだけでさ。
あなた

////////////コクン、ありがとう。ヘヘ

五条
僕だけのキミでいて欲しい。
私の目を逃がさないようにロックする。
彼がそんな事を言い出すとは思ってなかったから、私はフリーズしたままだった。
五条
あなたはね、僕の愛しい人なんだよ。
ずーっと前からさ。
スカイブルーの箱を取り出し、リボンを外す。
そして、私の左手薬指にリングを通した。
五条
だから、これはずっと着けといて。
あなた

(左手を天にかざしリングを眺める)
/////うん。ありがとう。ポロ

五条
ハハ、柄にもないこと言っちゃったな。
このリングのチョイス、良くない?似合ってるよ。
いや~、センス良いよね僕ってば。ハハ
リングをなぞり、おどけてみせる。

彼の持つ、強さも弱さも全て
愛しすぎて胸が張り裂けそうになる。
あなた

ねぇ、悟?

五条
ん?
あなた

じゃ、約束ね。
…どんなことがあっても、
何日掛かってもいいから
必ずここに帰って来て。ね?

五条
ハハハ大丈夫。
フッと微笑んだ。
五条
僕、最強だから。
あなた

…うん。フフ

私の唇に軽くキスをした。
もっと確めたくて、
私からも長く優しいキスをする。


もう、何も怖くない。
悟があの時、私を助けてくれたように、
私が、彼の全てを守り抜こうと。
五条
積極的なあなたもいいね。
今夜は激しくなりそーだなーハハハ
そう笑って、
テーブルの上のポッキーを私に食べさせた。
あなた

…///甘っ///

五条
知ってるだろ?僕が甘党だってさ。
私は悟に、呪術を掛けられた。
もしかしたら
悟は私にもっと前から呪われていたの知れないね。
ハッピーエンドの術式は持ち合わせていたのかも。

幸せを与え合う呪いなら、喜んで。


これからの2人にのために。
五条
フフ、結婚とか言い出すと思った?
あなた

//////べ、別にっ//////

五条
お前の眼で僕の将来がどーなってるか
見てみるのが手っ取り早いだろ?
あなた

///(首を降る)
そんな事では使わないんです~

五条
ハハハ、責任はちゃんと取るよ。
それは、しばらく待っててな。チュ
END

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