第21話

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2021/07/03 13:10
―高専 医務室―
祥子
最近、めっちゃ勉強してんじゃん。
ここで。
教室行きなよ。邪魔くさい。
五条
(参考書を見てる)ここの方が頭に入るんだよねー。やめてくれるかな~僕の学習意欲を削ぐ発言は。
祥子
あーっそ。でも邪魔だから。
そいえばさ、こないだコレ出てきて
本を渡す。
五条
?なに?
祥子
あなたさんのだから、会ったら渡しておいて~。忘れ物だよ。
五条
ふーん。(テーブルに置く)
別れたんだった。
別れた気がしないのは、あなたがここに居ないから。実感がない。
言われるまま、フッてあげたけど
納得してないんだよね。僕は。
祥子
最近連絡とってないの?
五条
取ってないよ~。フラれたから。
祥子
マジで?!
五条
マジ。
祥子
ちょっと~、何かやらかしたの?
五条
ながーい片想いを温め続けてきたんだよ?この僕が、そんなことするわけないでしょ。
祥子
確かに、悟にしては珍しく熱かったもんな。自分から人を好きになるタイプじゃないのに。
…そっか、あなたさんやっと、ヤバい奴て気づいてくれたんだぁ~ハハハ 悟、残念だったな。
五条
地味に凹んでんのに、
人を悪魔呼ばわりしてんじゃねーよ。
今まで、誰かを自分から好きになる事はなかった。
女に言い寄られる事はあっても、自分から向かってくって事はなかった。めんどくさいしね。
でもあなたを初めて見た時、良く笑う子で、癒されたんだ。僕だけのものにしたかった。
やっと手が届いたのにさ。
祥子
そしたら、本は?
あたしから送っておこうか?
五条
いや、とりあえず持って帰る。
祥子
こわっ。めっちゃ引きずってんじゃん。
あなたside

五条と別れてから、1年が経とうとしてる。
私は7月からオーストラリアへ行くことになった。編入学できたんだ。

少し前に、実家へ行くために東京へ帰省した。両親とは高専での出来事から気まずくなっていたけど、私の人生を応援すると言ってもらえて嬉しかった。
祥子から、無事五条は今大学へ行ってる事を聞いていたし、安心した。彼の未来を陰ながら応援しよう。
彼の幸せを願い、私は留学した。
―2年後―


私は同じクラスの日本人と付き合う事になった。

異国にいると、郷里の相手が安心させてくれる。
この付き合いにどこか違和感はあったけど、楽しかったし1年くらい一緒にいた。
恋愛の好きというより、友人としての好き。
そんな感覚に近かったのかもな。

1度、いつも着けているネックレスを外されそうになって、阻止をしたら大喧嘩になった。
あなたは誰かをずっと想ってるって。そう言われて
その時、自分のズルさに気付いたんだ。
五条が、ずっと胸の奥底に眠っているのは分かっていたんだけど、別れて何年も経ったのに、ネックレスを外す事はできないでいた。
いつか自然に外せる日が来るまで、着けていたかったから。
その後、当たり前だけどあっさりフラれた。
それが卒業する少し前。気付けば23才を迎える。

就職先の内定をもらい、私は東京へ戻る事になっていた。