第20話

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2021/07/01 07:13
卒業し、寮を出た。
最後の日は、1人だった。
五条と居たかったけど、任務でいないし。京都校出張の祥子からはプレゼントで、五条、祥子、夏油の3人が笑ってる写真入りのフォトスタンドを貰った。

前日、電話で五条に、行くなよ。て言われて、辛くなりそうだったから早めに電話を切ったんだ。


初めの頃は、よく連絡を取り合っていた。
高専4年になった五条は、術師名家の血を引く小さな子を人身売買から救い、引き取った。
子供に怖がられないように一人称を変え、話し方も少しずつ変化した。
自分だけ強くても意味がないと覚り、強く聡い仲間を育てたいんだ。って教師の道を目指しはじめた。
彼の変わり様には周りも驚いていみたい。
きっと、夏油の影響もあるのかもね。
私はと言うと、好きな授業で学び、サークルに入って新しい友達ができた。バイトもはじめ、学校以外でも友達ができた。
大学に入って視野が広くなった分、自分の将来がハッキリとした形で見えてきて、それ向けて色々と動き始めた。

毎日が新しいことばかりで、吸収することばかりで、楽しくて仕方なかったんだ。
五条や祥子と一緒にいた時間を、新しい友達で更新していった。





―電話中―
あなた

でさ、皆でブーイングだったの~ハハハ
もう、可笑しくてさ。笑っちゃた。

五条
ふーん。
あなた

あ、ご、めん。。。しゃべり過ぎた。

五条
なんで?いーじゃん。
楽しくやってんなら。浮かれちゃってんでしょ?
ま、知らない事ばっかだから、気分良くはないけどね~ハハ~
あなた

…だよね~ごめん。

高専の五条と大学生の私。遠距離。
少しずつ、少しずつ、遠くなっていく。
話す感じ、一緒に居た時の感覚、肌の温もり、何もかも忘れてしまいそうなくらい。記憶が薄くなっていく。
好きと言う気持ちは何も変わらないのにナ…



ある日―電話中―
祥子
悟の最近、引くレベルですよ。あんなに変われるんだな~と思って。ボクボク言っちゃって
あなた

ハハハ、へ~そんな感じなんだぁ…

祥子
最近、忙しそうにしてますよ。
チビッ子懐かねーって喚いてますハハ。
でもあなたさん、大学生活楽しそう~
いいな~サークルにバイト。夢だな~
たまには帰ってきてくださいね!
友達から彼の事を聞く。
本人から聞いていないだけに、寂しかった。
それだけ、会話してないって事か。
あなた

うん。ありがとう。





五条side

あなたとしばらく話してないな~。
いっつも、タイミング最悪。LINEすら続かない。
気を使ってくれてるんだろうけど、ちょっと謙虚過ぎな所あんだよね。
ボクの立場上、融通利かないのはこっちの方だから、ワガママ言わないだけ助かってるけどね…

会えない時間が長くなると愛が育つって聞いた事あるけど、違うでしょ。先細になってない?

学業、任務、引き取った姉弟の世話、自分に余裕がないのもホント。
できたら、近くに居て欲しかった。
離れたら、こうなる事くらい察しがついたけど、仕方ないと割りきるしかなかったもんな。あなたの人生だってあるわけだし。
バイト楽しいって喜んでたけどさ、他にいー奴できたとか?…んな訳ないか。




夏を過ぎた頃
五条が任務終わりに、こっちに来ることになった。
久しぶりに会える。
―駅―
あなた

あっ。(手を振る)オーイ

あれ?ちょっと大人っぽくなった?
久しぶりに見た五条の第一印象。
嬉しくて、笑みがこぼれる。
五条
久しぶりだな。元気してた?
任務は逆方向の県だったけどね。ホントはさ。
会いたかったし。エクボも健在だな。
観光地―庭園―
五条
観光地なのは知ってるけど、あなたから聞いて、へ~なるほどね~。
確かに。
あなた

ね?ここ高専ポイでしょ?
ここからの眺めとか、高専のあの正門の階段の所に激似じゃない~??
初めて見た時、タイムスリップしたかと思っちゃったよハハハ
なんか、色んな事思い出しちゃった~ハハー

五条
(あなたを見ている)ジー…
あなた

え、な、なに?何かついてる?

五条
フッ(下を向き首を振る)いや。
メイクして、オシャレしちゃって
キレイになったなって思っただけだよ。
あなた

あ、お腹すいた?オススメのお寿司屋さんあるんだよ。夕食、行ってみる?

回らないお寿司は五条には当たり前かも知れないけど、紹介したらスゴく喜んでくれた。
もちろん今回は、私がご馳走した。
あなた

チビッ子君は懐いてくれた?

五条
ぜーんぜん。ホントに小1かよって、冷めてんだよね~。
でも、男前になるよ~。ボクが育てるんだからさ。
あなた

フフ、楽しみだね。

五条
いいネックレスしてんじゃん。
あなた

///うん。いーでしょ?

五条からプレゼントされたネックレスは、ずっとお守りになっていた。
今夜は私の家に彼が泊まる。
―あなたの家―
五条
キョロキョロ
相変わらずスッキリした部屋だな~
でっかいぬいぐるみ送ってやろうか?
?語学の本、オーストラリア?留学マニュアル?
留学しようとしてんのか?
あなた

ハハハ、いいって。ぬいぐるみ好きだね~
女子と言ったら、そうなの?

五条
ネズミーランドのぬいぐるみとか置いてあるイメージなんだよなぁ。
あなた

超偏見だね。私自慢じゃないけど行ったことないもん。ネズミーランド。

五条
マジか!かわいそーに。夢の国だよ?
来年連れて行ってやるよ。
そう言う彼を見つめながら、胸が痛くなった。
話さなくちゃ。
あなた

なんか、信じられていないなぁ。今ここに五条いるの。…ヘヘ嬉しいな。

五条
あなたこそ、たまには帰って来いよ。祥子も会いたがってるしさ。
あ、一人暮らし始めるから。
あなた

ホントぉ?何かタワマン住みそうだよね。最上階。行きたい行きたい!最上階にしてー。

五条
アハハ、いーねー。タワマンかぁ。
あなた

(ニコニコ~)

五条
フフッ。なんだよ。(エクボをつつく)
手を伸ばすとそこに五条がいる。
それが嬉しいだけ。
五条
あなたはさ~、いつになったら名前で呼んでくれんの?
アノ時ばーっか呼んじゃってさ~。
あなた

へ?あ、//////もぅ呼んであげなーい//////

五条
ま、そのギャップがいーんだけどね。
大きな手が私を抱き寄せる。
安心する温もりだった。
・・・・・




―ベッド―
五条
あなたちゃーん。
今夜もよかったよ~。チュ
あなた

/////ばっかじゃない/////フフ

五条
留学考えてんの?
あなた

え。何でしっ

五条
そこの棚、そんなんばっかじゃん。
どんどん離れてくね~
いつ行こうとしてんだよ。
あなた

うん…ちょっと興味があって、来年編入しようかなって考えてたんだ。
あ、でも決めたのは最近で、話そうと思ってたんだよ。

五条
ふーん。何年かは会えないてことか。
あなた

・・・

五条
あーあー、テンションさがるわ。
あなた

ごめん。まだ決まった訳じゃないし。
…でも、留学はしたいの。

五条
まぁ、あなたの人生だもんなぁ。
うーん…会えなくなるのはキツいよ?
あなた

うん。
・・・五条

五条
ん?
あなた

・・・私の事、フッて。

五条
?あなたの本心は?
あなた

好きだし、今みたいに一緒にいたら離れたくない…
でも、自分のやりたい事も見つかって、目指したい。それもホントなの。
それに、五条も自分の目標があるんだし、こんな事で面倒にさせたくない…って思って。

涙が伝う。
全部私のワガママで、五条を困らせてる。

留学しなければいい。大学卒業したら東京に戻ればいい。それだけの事だけど。
でも、今があるから、私の未来が待ってる。
五条が助けてくれたから、私の将来があるんだ。
五条
これで、最後にするって事?
あなた

…その方が、お互いに辛くならないですむと思っ

唇を塞がれた。
涙か溢れて止まらない。
あの時、五条が私の記憶も何もかも消してくれたらどんなによかっただろう…
答えのない正解をずっと探していた。
五条
…お前がそう望むなら
フッてやるよ。
あなた

…ん。

この日を境に、五条とは連絡を取らなくなった。