第23話

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2021/07/10 13:25
―高専医務室―

ガラッ
祥子
珍しく、ケガでもしたのかしら?
五条
誰が。ちげーよ。
祥子
用があるなら早くしてよね。
あたし、これから飲み会だから。
鍵閉めるぞ。
五条
お盛んでなによりだな。
それより、あなた帰国してんだろ?
祥子
何でいつも私に聞くのよ。
気になるなら自分で連絡してみなって。いちいち、めんどくさいよな、そーゆー所。
五条
何で言わなかったかな~
ま、いーや。鍵閉めていーよー。
じゃぁね、お疲れ~
それだけかーい。
悟、帰ってくるの待ってたんだな~
ある意味尊敬だわ。一途ちゃ、一途。
あなたさん、喜ぶだろうな。
相思相愛だね。

…………………
久しぶりに会った日、あなたさんが悟の事をどう思っているのか聞いたんだ。
あなた

結局、私忘れてないんだよね。五条の事を。何年も経ったのに。
フフフ、バカみたい。
違う人と付き合っても、消えなかった。
自分でも呆れちゃうわぁ…ハハハ

ずっと、ずっーと想ってたんだな。て。
悟があなたさんの居ない間、近寄る女性に対してフワフワしてたのは、悟もそーだったからなのかもしれないな。
あなた

何度か連絡してみようと思ったんたけど、私のワガママで終わらさせちゃったからさ、何かね。できなかったんだ…

……………………………………


ネックレスを外して、大人として新しい階段を登り始めようと思ったけど、そう言う事じゃなかった。
年齢と、社会的な立場のみ変化して
大切に閉まった気持ちの箱の中身は、封印しただけで、何も変わらない。キレイなまま残ってる。

何度もメール作成したり、電話をしようと思ったけど、送信や通話ボタンが押せなかった。
怪訝そうにされたら余計に後悔しそうで勇気がでなかった。
―LINE―
五条
いつ帰国したんだよ?
連絡くらいよこせよ。
しばらく五条から来たLINEを見ていた。
本当に信じられなくて。
そして、嬉しくて。
あなた

帰国してから、1年以上経つんだ。
連絡、できなかった。

最後に会った日、別れ際、五条に帰国したら連絡するように言われた。
でも、私はしなかった、できなかった。
……………………


数日経ち、五条から電話がきた。
あなた

…はい。もしもし

五条
もしもーし。あなた?
ちゃんと出たね~
あなた

え?なんで?

五条
あなたの事だから、着拒するかなと思ってさ。僕にビビって。
あなた

ハハ、そんな事しないよ。
うん…連絡してくれて…ありがとう。

五条
帰国したら連絡しろっつたじゃん。
何でできなかったんだよ。
待ってたんだけど?ずーっとさ。
あなた

…連絡できる立場じゃないし…

待ってた。どういう事?
五条
あ、そっかぁあなたはさ、
僕と別れた事になってたからね~
あなた

うん。
え?別れた事になってた。…って

僕から逃げただけだし。
あなただけ別れた事にしといた。
だってキミは、絶対本心じゃなかったからね。
五条
端から納得してないんだよね~僕は。
どーせ止めたって、逃げたでしょ?
怖くなると逃げんの得意だからさ。
だから、フッたふりはしてあげた。
あなた

・・・ふり

五条
そ。
せっかく会いに行ったのに、前振りなしにいきなり別れるって、ないよね~
思いつきでいってんのかよってさ。
あなた

それは・・・タイミング的に

五条
どちらかに非がある訳じゃないのに、たかだか距離に負けちゃって、
僕に迷惑掛けるし、キミが自信なくて辛くなるのもイヤだっただけでしょ?
しかも一方的に。
そんな事で納得できると思う?
僕がさ。
そう、向き合わずに私はまた逃げたんだ。
あなた

・・・それは

五条
正直、ムカついたよ。
僕が納得できる様に説明できたら、
本気でフッてやったけど。
独り善がりもいーとこ。
あれは却下だね~
そう言われて、何も言い返せなかった。
私一人で別れていた数年は、五条の中では
ハーフタイムくらいの事だったらしい。
お陰で勉強に集中できたわ。と笑った。
あなた

…五条が言ってる事は、本当にその通り。
でも、あの頃は

五条
ま、でもいーじゃん。
あの頃は、それが私だったんだ。
五条
会って話そうか。
………………………


会う日と待ち合わせ場所を決めたけど
時間を過ぎても五条は現れない。
仕事帰りで急いで来たのに、昔から遅刻魔だった事を思い出した。けど30分以上経ってる。きっと任務なんだろうな・・・仕方ないか。
―LINE―
あなた

お疲れ様、
任務中かな。あと30分しても返信なかったら、今日は帰るね。日を改めよ。

五条
ごめん、
任務帰りで、高専戻ってるとこ。
タクシー捕まえて高専まで来れる?
卒業してから初めて高専に行く。
時間も遅くなるのに、五条明日に響かないかな。
でもそんな事よりも、私は五条に会いたかった。
高専の正門前にタクシーを停めてもらうと、五条が待っていた。
五条
よ。元気してた?
何事も無かったの様にサラっと話す、
それが、逆に気持ちをラクにさせてくれた。
あなた

///うん。久しぶりだね。

木々が立ち並びひんやりとする。結界があるお陰でクリーンな空気で気持ちいい。
自分自身が洗われてく気がする。
久しぶりの高専。

長い階段を先に五条が上がっていく。その後ろ姿を見つめながら付いていく。
階段を上がるほどに高専の制服を纏った私に戻っていた。
この場所は思い出の場所。
五条
ここの教師になったんだよね~
あなた

うん。聞いてた。すごいよね~
五条が先生になるって。

五条
祥子?
あなた

うん。たまに連絡取ってたから。
私の帰国も聞いてたでしょ?

五条
やっぱり・・・
あなたの帰国知ったのは偶然なんだ。
あなた

そーなの?え。何で知った?

伊地知がルート変えたからアイツのお陰か。
やるじゃん。何もしてやらねーけど。
あなたと確信したのは、しっかりキミの千里眼をキャッチしたからさ。僕の六眼でね。
五条
・・・眼がいーもんで。
階段を上りきり振り返ると、遠くに沢山の明かりがついた街が見える。
あなた

キレイ・・・

見ている景色は昔と変わらない。
もう少しで25才になる。
学生の時とは少し違う気持ちを持ってここへ来た。
座る?て言われて、彼の隣に座った。
五条
もう、5年くらい経ったじゃん?
気付けば早いよな。
あなた

そうだね。
…色んな経験して今がある感じ。
ね?ここからの見晴らし、こんなに素敵だった?気付かなかった。

五条
視界が広がったんじゃない?
気持ちに余裕ができた証拠だよ。
私、自分に必死だったな。
目の前の事に押し潰されないように、
いつももがいて、いっぱいいっぱいだった。
少しは大人になったかな…
あなた

…五条とこんな形で
再会できるなんて思わなかった。

五条
キミを見つけた僕に感謝だね。ハハ
どーする?それでも納得させてみる?
いーよ、プレゼン始めても。
あなた

・・・ううん。やめておく。

あの頃、ここで
いーかげん、認めたら?って、言われたんだっけ…
あなた

フフフ、会いたかった。
・・・・・今でも、好き。

五条
フッ、いつまで待たせてんだよ。
あなた

ポロポロ うん。おまたせ~

五条に寄りかかる。
聞いたことあるセリフじゃん。
て彼も覚えていた。それも嬉しい。
遠くの街の景色が二重にも三重にも見えた。
五条
もう、離れんなよ。あなた。
同じ場所で、私から告白をした。
彼が手を繋いでいてくれるから、
その手は、私も離さない。