第3話

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2021/06/04 16:10
五条
よ。
あなた

ハッ!ビックリしたぁ。

五条
なに考え事ぉ?前向いて歩かないとぶつかっちゃうよ~、オレにハハハ
こいつのこう言う飄々としたノリが、クズ呼ばわりされる由縁なんだろう。
あなた

祥子は今日明日出張だよ。

五条
知ってるよ。ちょっと休憩に来たんだよね。早くカギ開けてよ。
あなた

いつも休憩してんじゃん。任務入ってないの?夏油だってまだ帰って来てないみたいだし、毎日忙しそーだけど。

五条
同じ場所に2人も最強は要らないからね。オレの報酬めちゃくちゃ高いし~

それにさ、
2人きりになれる事なんて滅多に無いでしょ。
あなた

2人きり?・・・は?何の話し?

五条
…フッ
分かんない?オレとあなただよ。
あなた

は?///え、///ばっかじゃない。何言ってんの?!いやいや、意味分かんない///

何言ってんだろ///
いつもここに居れば、しゃべって、お菓子食べたりしてんじゃん。
あらためて言葉にされると
///恥ずかしくなるんですけどぉ///
顔全体がカーっと熱くなる。
五条
照れんなよ。耳真っ赤だよ~。
あなた

///うるさいよ///

五条は笑いながら冷蔵庫からポッキーを出し、ドカッとソファーに座りスマホを見始めた。

こんな調子で、からかってくるコイツは何考えてるのか、いまいち掴めない。
あなた

10分経ったら出ていってよ。
あたし、やる事あるから。

五条
あ、いいよ。
やりたい事やっちゃって
なに目線よ。
ホントは何時か祥子に言われた言葉を思い出し、心臓が飛び出しそうにドクドク鳴っている。

端正な顔立ちに、サングラスの向こうには
吸い込まれそうな青い瞳。
長身で、サラッとした白髪。
ポッキー食べる姿すら、絵になる。
大いにモテるんだろーな。

にしても、五条があたしを?
…いやいやまさか。
まさかそんな訳ないと、頭の中で繰り返す。
五条
なぁ、そんなに見つめんなよ。
イケメン見たことないの?
あなた

ハッ、ベ、別に見てないし、自惚れないでよね~!

五条
自惚れてないよ。事実だし~
スマホから目を逸らさず、淡々と。
・・・ダメだ。意識してしまう。

平然を装って、レポートを書き始めるけど、全然書いてる内容が入ってこないよ。
とりあえず、書いてるフリだけして、心臓の音を消すのに必死だった。
五条
卒業したら何すんの?
あなた

・・・え。

五条
そろそろ決まってんでしょ。
スマホ見ながら、淡々と。
あなた

・・・五条には関係ないじゃん。

五条
教えてくれたっていーじゃん。減るもんじゃないんだし。意地悪かよ。
こっちも見ずに、暇潰しされてる感Max。
ネタ無いなら、無理に話し振ってこないでよ。


でも、皆が羨ましいんだ。
使命をもって、どんどん前進していく。
そんな姿がキラキラしていて、いつも眩しい。


所詮、籠の中の鳥には自由なんてないんだ。
あなた

特にまだ何も決めてないな・・・
五条はいいよね。うらやましい。

ここにいる以上高専の思うがまま操られ
必要なくなったら、あっさり消されるんだ。

何かのために役立つ事はできない。

あたしも、五条みたいに然るべき道にすすみたかった。強くなりたかった。
五条
(あなたを見る)
なんで?
あなた

生まれた時から使命があって。
ちゃんと誰かの役にたってる。
・・・いいなぁーって。道が決まってる。

あなた

ま、あたしの事はいんだけどっ。

五条
ずいぶん弱気じゃん。
あなた

弱気なんかじゃないよ。
五条みたいにエリート育ちなんて、一握りじゃない。
生まれる前から出生選択できたらいいのにな~。なんてね。

五条
良いかどーかは別として、
自分に自信がないの?あなたは。
あなた

…もぅ、無いかもね。
どーしても変えられない未来だってあるんだよ~。

五条
じゃ、やめたら?
あなた

えっ?

五条
何か良くわかんねーけど、自信なきゃやっていけねーじゃん。弱いままだったら、今やってる事意味なくね?
自分を信じてる真っ直ぐな目に
弱音を吐く自分が惨めに映る。
五条には、分かってもらえるはずない。
五条
さっき、学長んとこに行ってただろ。
あれ何の用?

あ、もしかして怪しい関係とか?
ジジ専かよ。ハハまさかな~
あなた

…ほ、報告書出しに行っただけだし…
変な事言わないでよね!

知られたくなくて、ウソついた。
あなた

だし、関係ないでしょ、五条には。

五条
あっそ。ハイハイそーですか。
・・・フッ、まぁね~…
んーと、伸びをしながら、私の方に向かって来る。
五条
オレには、お前の先の事なんか
関係ねーけどさっ。
は・・・なんで不機嫌?


サングラスの向こうの瞳に私が映る。鋭い視線に、私は目を逸らした。

10分経ったから帰るわ。
ヒラヒラと背中越しに手を振り出ていった。

話したって何も変わらない。
自分で決めるしかないんだもん。
そんなにハッキリ言わなくたっていーじゃん・・・

そのままになったポッキーを、冷蔵庫に戻した。







五条side

学長室に入るあなたを見た。
あれは報告書を渡しに行く感じじゃない。
顔が引きつってたし。
ウソついてんじゃねーよ。

にしても、今日は見れなかったな~…
笑う時のエクボ。
何かイー感じに片方。ペコ~て。
いつだったか、エクボにポッキー刺したら超キレてたっけ。けっこう刺さって地味にウケた。
でも、今日は見れなかった。

あいつの事気にしてやれば
「五条には関係ない。」だってさ。



あっそーですか。って、マジ




すっげームカついた。

五条
んだよっ
(ドスッ)壁を蹴る


秘匿死刑の可能性って、なんの事だよ。



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