第8話

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2021/06/07 06:09

教室も医務室も、静かで、その静寂が胸を締め付ける。
五条
な~に、黄昏てんの?
振り向くと教室の入口に寄りかかった五条がいた。
あなた

・・・

久しぶりに姿を見て、頭が真っ白になる。
五条
シカトかよ。
どーしよう…声が出ない…


私、また逃げるの?


思わず、鞄を手に取り教室を出ようとする。
あなた

…してないよ。

五条の前を通り過ぎようとした時
ドンッと長い足に止められた。
あなた

ちょっ

五条
ごめーん。足長くて。
五条
なんでシカトしてんだよ。
避けられてんの?オレ。
あなた

…してな

五条
してんじゃん。
顔が上げられない。
胸が張り裂けそうで、何かが込み上げて来る。
あなた

…どいてよ。

五条
イヤだね。
つか、声ちっちゃ。
五条
もしかして
好きになっちゃった?オレのこと。
好き避けってやつ?
あなた

///なに…

ね。こんな時でもヘラヘラと。
五条
図星だろ。
もぅ、どーでもいいや。

何かが途切れた。

あなた

いっつも、そーやって…
(顔を上げる)
・・・バカにしないでよ。

ポロっと涙が流れた。
五条
泣いてんの?
あなた

…は?…泣いてないけど。ポロ

頭の中がぐちゃぐちゃする。
あなた

用無かったら帰るから、どいて。

何も言わずに五条は足を下ろした。
あなた

じゃーね

立ち去ろうと歩き出すと、腕を捕まれた。
あなた

えっ。

一瞬何が起きたかわからなかった。

気付けば

五条の胸の中にいた。
あなた

・・・っ

五条
お前の事分かってやれなくて
…悪かった。
不思議な気持ち。
嫌なことも、辛いことも、
嬉しいことも、楽しいことも
五条の手も胸の中も
全部暖かい。全部涙で流れた。

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