第24話

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2021/07/16 11:58
五条から悟に呼び方を変えて1年が経つ。
彼は来年から、クラス担任になれると張り切っていた。以前にも増して任務も出張も増え大変そうだけど、本人は何ともないみたい。
何だかんだあっても、タフだな。て思う時がある。

私は週末を彼の家で過ごすのがサイクルになっていて、日曜日は余程用事がない限り、2人で映画鑑賞をしてのんびり過ごしている。
あなた

…この映画、怖い…
めっちゃ刺されてるケド…

五条
そぉ?生け贄に女差し出したから、当然の酬いだよ、ハハハ 普通、普通~
あなた

普通…て。
こう言う映画の時、悟のサイコパスが見え隠れして怖いんだけど…

五条
多少なりともそんな部分持ってないと、呪術師なんか務まらないからね~。あー終わった。
大したことなかったなコレ。
あなた

十分怖かったですけと…
今何時?…4時過ぎかぁ~…
あ、私も少ししたら帰るね。
明日の書類の準備しなきゃだから。

五条
帰んの?
ここで書類やればいーじゃん。
あなた

書類は家。
ここに来てまで、仕事したくないよ~

五条
書類取ってきたら?
あなた

二度手間~。

五条
…もぉさ~、ここに住んじゃえば?
行ったり来たりも、めんどくさいし
あなたん家、引き払ってこいよ~
そう言いながら、ソファーをベッドにして、私のひざを枕代わりに寝転びゴロゴロする。
こんな風に甘えるようになったのは最近なんだ。
五条
15分したら起こしてね~
15分後に起こす×4セット。
これからが長い。
ウダウダゴロゴロして、ちゃんと起きるまで1時間は掛かる。
1人になると淋しくなる…のかな。

毎回彼の家に着いてから、悟の第一声は
「日曜、何時に帰るの?」だ。
来たばかりなのに、帰りを気にする。
大まかに伝えると、逆算したかのように中途半端な時間に映画を観始め、
今のように寝てしまい、私の帰宅は大幅に遅れるパターン。

一緒に居たいと思ってくれるなら、嬉しいけど。
淋しいとも、帰るなとも言わない。
肝心な所をハッキリ言わない。
ズルいなぁ、と思ってたけど…
ずっと彼の側に居てあげたいと思った日があったんだ。



―電話―
五条
今週末は任務で出張になったよ。
教員でもある僕にだよ?
無茶させ過ぎだよねー
アイツら、僕を教壇に立たせないように仕組んでんじゃない?
性格悪っ ゴホッ
あなた

大変そうね。いつもの事だけどさ。
教員の前に呪術師として、頼りにはしてるでしょ。特級の出張る場面が増えてるって事は、昔みたいな世の流れじゃないわけだし、必要なんだよ。
でも、来年からは先生決定なんだからさっ。頑張って。

悟、鼻声みたいだけど、風邪引いたのかな?
これが週始め。
2日が経ち、その時の電話では更に鼻声が悪化している感じだった。
あなた

体調大丈夫?風邪じゃない?
栄養ちゃんととってるの???

五条
ハハハ、母親かよ。
大丈夫だって。食ってるよ。
ハックション ズズ
寝ときゃ良くなる。
あなた

めっちゃ、くしゃみしてんじゃん。

悟って、陽の感情は話しても、辛い、苦しいの陰の感情は人前ではほとんど表に出さない。
もちろん私の前でも弱音は吐かない。
「最強さんは24時間最強説」立証なるか。
週末会えないんだったら
明日、様子見に行こうかなぁ
五条
え?大丈夫だよ。こんくらい。
次の日も仕事だろ?ゴホッ
次2人でゆっくりしよーぜ。な?
今、めっちゃ遠ざけた?
食事した、薬飲んだはきっとウソだろうな。
任務も1日2、3件こなしているみたいだし、カラダ持つ訳ない。
明日は勝手に訪問させていただきます。
次の日、昼休憩に悟の今日これからのスケジュールを聞き出すためにメールを送った。
今夜行くとは言わず。
返信が来たのは、夕方近く。
五条
あんまり体調良くないから
ちょっと早めに帰る。
―ベッドの上―

おいおいおいおい、おいーっ。
本格的にしんどくなってるじゃねーかよ!
は~動きたくねー。ゴホッゴホッ
ダルい~・・・38℃て何度だよ。
頭痛ヒドイな…なにこれ。
薬もないし。祥子、京都校行ってるしなぁ…
帰り送ってもらう前に、
伊地知に買い物頼めば良かったよ。トホ

―夜―


五条宅 ピンポーン


カチャ
あなた

こんばんは。ニッ

五条
・・・フッ、なんだよ。
あなた

ん?めずらしく風邪引いたみたいだから、様子をみにね…ヘヘ

リビングに行くと、カギや制服が無造作に置いてあり、キッチンには栄養補給ゼリーの空がいくつか置いてあった。
顔色悪いし、目も虚ろ。相当しんどいはず。
あなた

とりあえず、ベッド入ってて。
体温計して。

五条
・・・コクン
良くしゃべるのに、
今日は口数も少ないし全く元気がないから
余計心配になる。最強説立証ならず。
こんな辛いクセに、何で頼ってくれないんだろう…
食欲ないだろうし、朝から食事してないとすると、薬飲めないか…


―寝室―

トントン カチャ
あなた

(体温計を見る38.4℃…これで任務出ててたの?よくカラダ持ったなぁ…)
悟?大丈夫かな。ちょっと起きれる?

五条
…大丈夫(起きる)ゴホッ
あなた

辛かったでしょう。
コレ貼るよ。(熱さまシートを貼る)
少しでいいから、これ、お腹に入れて。

私の家で風邪で食欲がない時は決まってリンゴのすりおろしを出してくれた。
五条
…ハハ、なつかしぃ。子供の頃に良く出たわ。パクッ さっぱり~
あなた

ハハ、食べれて良かったぁ。
終わったら、薬飲んでね。
ここ置いておくね。

五条
…ボソ ありがとな。
あなた

ん?

五条
いや・・・
こんな姿見られんの、ちょっとね。
あなた

弱ってる時ってこと?

五条
ん。
カッコ悪いじゃん。な。
あなた

フフ、そんな風に思ってた?
人間だもん、カッコ悪い時だってあるじゃん。学生の時の私の方がヤバイでしょ~。悟に助けて貰ってばっかりで。フフフ
…今の風邪っぴきの悟も好きだけどな~
ポァ~んとしてる感じが。

五条
ハハ、まじか。ゴホッゴホッ
笑わせんなよ~ゴホッ ハハハ
あなた

…うん。だからこーゆー時こそ、私を頼って欲しいな。…甘えて下さい。
24時間カッコ良かったら、私の出る幕なくない?私も悟の役に立ちたいもん…
悟みたいにスーパーマンみたいな事はできないけど、微力ながら側で支えることはできるから。ね。

五条
・・・フッ、ん。
あなた

フフ、薬、飲んで。

五条
…粉かぁ…
あなた

粉の方が効きいーんだよ。

パタン

あなたがそこに居るだけで、安心する。
すりすりりんごも…アイツ渋いな~
愛情入り。なーんつって。

アイツの前では、カッコつけてたかったんだよね。何でだろ…うーん…ま、いっか。
なんとなーく逆転された気分だけど、
悪くないな~。
風邪、治ったりしちゃって。

じゃ、お言葉に甘えて
しっかり甘えさせていただくよ。
五条
…ハ~ックション ズズ 
簡単に治ったら医者いらねーか。ハハ
(薬を飲む)ン。ゴクッ。
あ゛~苦っ。マズ
お粥もできたし。そろそろ帰るか。
薬効くといいけど。
祥子にも薬出してもらうようにメールしたし。
京都行ってたから薬貰えなかったんだね。きっと。



トントン カチャ
あなた

悟、私帰るから。
ゆっくり休んでね。
無理しちゃダメだよ。

五条
あのさー
あなた

ん?どしたの?

五条
ちょっと、こっち来て
(布団をめくる)
あなた

え゛?…しませんよ///

五条
は?病人相手にエロい事考えてんじゃねーし。欲求不満かよ。ハハハ
治ったら、死ぬほどしてやるわ。
おいで。
あなた

///え?もぅ帰るよ?(布団に入る)

布団に入るとギュッと抱きしめられた。
五条
帰んなよ・・・て訳にはいかないか。
…ありがとな。
チュ(おでこにキスする)
あなた

…ん///お役に立てて光栄です。
いきなり押し掛けて、ごめんね。

すると、彼は私の胸に顔を埋めた。
あなた

…フフ 子供みたい。

五条
・・・(ヤベ、何この安心感)
もう少しこのままでも、いい?
あなた

ん。いいよ。

何となく、悟の孤独さを感じた。
最強であるが故、弱さをは見せられないし、出せないもんね。もっと高みを目指して、毎日考え自分を鼓舞する。
悟の努力は永遠に続くんだろうな…
少なくとも、私と一緒にいる時だけは
全てを忘れてゆっくり休んで下さいね。

気づけば、スースーと寝息を立て眠っている。
あなた

ぐっすりだね。

深い寝むりに就いたみたいだから、起こさないように、ゆっくり身を引き、帰宅した。
次の日、だいぶ体調も良くなり
京都校から戻って来た祥子から薬を貰い
翌日にはいつも通りの、最強さんに戻っていた。