E⃣p⃣i⃣s⃣o⃣d⃣e⃣ O⃣n⃣e⃣
夢から覚めたのは3ヶ月前のこと。
幼稚園からずっと一緒で、同じ高校に入学した私達はいわゆる《幼馴染》だった。
幼馴染は結ばれるのが王道でしょ?
だって晴人の好きな物も嫌いな物も、起きてる時間も寝てる時間も、口癖も笑いのツボも誰よりわかってるには私だし。
それは晴人だって同じで、私の事誰より分かってるのは晴人だもん。
この先ずっと私の隣にいるのは晴人だって、
晴人だけだって、
当たり前みたいに思ってたから、
絶対にそうだって思ってたから、
思ってたのに。
私はそれを、信じて疑わなかった。
そう言って私は、強くにぎりしめていたバスケットの試合のチケットをハルトの顔の前に突きだした。
近頃晴人はボーッとして、視界にはあの子しかいない。
この前までは気のせいかと思ってたけど違うようだ。
その子の話ばっかりするようになったし、話しかけられるとしどろもどろになって顔を紅くする。
なんとか私に気がないか色々試して見たけど、もうダメだ。
今回なんの成果も得られなかったら、
諦めよう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。