E⃣p⃣i⃣s⃣o⃣d⃣e⃣ t⃣w⃣o⃣
晴人は私のことをどう思っているのだろう。
私自身、3ヶ月前までは両思いだとずっと信じていた。
ずっと隣にいるのものだと疑わず、現状に安心していた。
バカだ。本当にバカだった。
晴人は今は亜美ちゃんが好きだけど、前まではもしかして私だったかも?
とか、本当はどっちか迷ってるだけ?亜美ちゃんが可愛いから見てるだけで本当は好きじゃない?
とか、未だに現実に目を向けられずにいたりする。
トイレから戻り、教室に入ると2人が教室の隅にいた。
楽しそうに話す2人の、楽しそうな顔が、
心に、突き刺さる。
私は思わず教室を飛び出し、トイレに駆け込みもう一度個室の鍵を閉めた。
あそこからは2人の声なんて、まるで聞こえないけれど、
想像してしまう。
遊ぶ約束でもしたのかな、
私もした事ないような話なの?
私も知らないこと
あの子は知ってるの...?
──────キーンコーンカーン
私は始業のチャイムを聞き、急いで教室へ戻った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!