後ろからいきなり肩を叩かれ、飛び上がってしまう。
晴人のこと考えてたんだから!
...とは言えない、言えるはずもない。
いつもよりわかりやすいほどにテンションが高い。
...昨日の2人が、脳裏を過ぎる。
昨日の加奈子の言葉を思い出す。
聞くって、決めた...!
しばらくポカンとしていたが、理解したのか顔を紅潮させて素っ頓狂な声を出した。
あ、やばい、泣いちゃいそう。
い、今、なんて...?
付き合って...ない?
本当は聞きたくなかった。
でも、思わず気になってしまったことが口をついて出た。
聞きたいけど、聞きたくない。
なんだ。
勘違い、また勘違いしちゃった。
でも、
ちょっといい勘違いだったかも。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!