ほんの一瞬でも私のことを覚えているジミンに触れられたことが嬉しかった。
だけど、その彼はもう……ここにいない。
今まで我慢していたものが一気に溢れ出てきたのも束の間、今度はそれらを抑え込むことが何よりも苦しくてたまらない。
もっと、ジミンを感じていたかった。
もっともっとジミンと話がしたかった。
もっと______……、私だけのジミンでいてほしかった。
「じゃあね」とひと言置いた後、背を向けて遠ざかっていく彼を見つめながら、呼吸が出来なくなるほど煮えたぎるこの感情をどうにか鎮めようと必死に抗った。
今のジミンにこんなことを言ったって、気持ち悪がられるだけかもしれない。
けれどどうしても、次の約束を結んでおかないと不安でたまらなくなる。
ここで会うのが最後になってしまうかもしれないって、このまま疎遠になってしまうんじゃないかって怖くなる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。