かろうじて下着は身に着けているものの、私のものじゃないTシャツ姿の自分から失った記憶を連想させて______……思わず大きな音を立ててベッドの脇からずり落ちた。
扉越しに目が合ったジン先生の視線を急いで逸らす。
やっぱり間違いない、ここは彼の家だ。
今の状況が把握できないだけじゃなくて、どうやっても思い出せない空白の時間に起こった出来事を想像して怖くなる。
私……ジン先生と、そういうことをしてしまったのだろうか。
いやいや、いくら酔っていたとはいえ流石に最低限の一線は超えていないはず。
でも待って、私はあの時意識を失っていた。
だとしたら、きっと______……そういうこともあり得る、のだろうか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。