第47話

16.
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2021/04/14 14:28
あの言葉がずっと私を支えてくれていた。
どんなことがあっても忘れることのできない記憶で、大切な思い出だった。


けれどジミンがそれを失くした今、1人で抱えるにはあまりに寂しいものになってしまった。
2人で作った思い出をどちらか片方が忘れてしまったら、それはもう思い出とは言わない。
手放せなかった方がただ苦しい思いをするだけの、未練がましいものに変わってしまう。


初めて自分以外を信用できた人だった。
この人に寄りかかってもいいんだって思えた人だった。



ソラさん
ソラさん
ねぇ、あなたちゃん?
本当1人で帰れる?
もう少ししたらホソクが迎えに来てくれるからさ、家まで送っていくよ?
you
you
平気、です。
タクシーで帰るので
ソラさん
ソラさん
でもフラフラだよ?
本当に平気?
you
you
はい、大丈夫です。
今日も楽しかったです、ありがとうございましたソラさん




彼女の旦那さんが迎えに来たのを確認して、近くに停車していたタクシーを捕まえる。
12月も半ばに差しかかった今、とくに夜は冷え込むと聞いていたのに私の身体は慣れないアルコールのせいで異様に火照っていた。

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