次の日、いつもと同じように朝のモップがけのために練習室の扉の前まで行くと、ガラス越しにヨンフンの姿が見えて慌てて隠れた。
変に意識してしまってどんな顔で会えば良いのかわからなかった。でも掃除は絶対にしなければならない。堂々と入るしかない。
意を決して扉を開けると、目の前にヨンフンが立っていた。
ヨンフンはいつものようにキラキラとした笑顔だ。あなたは眉間にシワを寄せる。
顔が赤くなってしまう。
頬を触れられて微笑まれると、もうなにもできない。昨日までの距離感とは全然違って、あなたは困り果てた。
首に腕をかけられ、額と額がくっつくぐらいの距離感で見つめられる。嘘もごまかしも通用しない。
唇が震える。けれどもう、抑えることはできなかった。
その瞬間、力強く抱きしめられる。
胸の奥が、熱い。ヨンフンの体温も熱くて、溶けてしまいそうだった。
目と目があって、引き寄せられて唇を重ねた。
好き。好き。大好き。
ダムが決壊したように次から次へと気持ちが溢れていく。ヨンフンもそれに応えるように、深く口付けをする。
それは、まるでDOMIOのようで。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。