第3回順位発表の前に練習生たちにもヒチョンの辞退を知らされ、みんな衝撃と戸惑いと複雑な気持ちで準備に取り掛かっていた。
頬を叩いて気合を入れ直す。
楽屋の前でユンドンが立っているのが見えた。
あなたの姿を見ると、安心したような泣きそうな顔になった。
みんな優しいがゆえに心配をかけさせてしまう。その気持ちはあなたにもよくわかった。
ユンドンの袖を掴んで歩き始める。
廊下の突き当たりにあるドアを開けると外の避難階段へと出た。
外はすっかり秋の装いで、下のイチョウ並木は黄色く染まっていた。
雲は空高く、澄んでいる。
第3回順位発表。
第9位でユンドンの名前が呼ばれた。
ユンドンの人柄の説明は、あなたが考えた文章だ。
マイクの前に、立ち、一拍おいて口を開く。
『本当に、感謝している人がいます。
ヨンフンくんとヒチョンとスタッフのあなたです。
このPRODUCE101JAPANをしながら本当に精神的にも実力的にもこの3人が頼りになって、僕がここまで来ることができたなと思っています。
だから最近何日間は本当に辛くて心が大変でした。
でも、ファイナルができたから、まだ練習に集中して皆さんに良いパフォーマンスで応えたいなと思います』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。