壱馬side
今日は久しぶりにあなたと俺の親が仕事で家に帰ってこない日だ。
俺とあなたの両親は仕事が忙しくてたまに今日みたいな日がある。
そういう日はいつもふたりで夜ご飯食べるのが俺とあなたの決まり?みたいなもの。
あなたが寂しがり屋やから俺が一緒に居てあげてるだけだけどねー。
俺はいつものようにあなたの家であなたの帰りを待っていた。
LINEも電話もしてんのに全然出ねーし、、
とりあえず知ってそうな人にLINEするか。
うーん、慎にしよ。
壱馬 「あのさー、あなたどこにいるか知ってる?」
慎 「あー、あなたなら北人さんと笑顔でどっか行っちゃいましたけど」
北人か…
笑顔でってのがイラッとする。
北人といてそんなに楽しいかよ。
壱馬 「そっか」
慎 「あ、止めた方が良かったですか?」
壱馬 「いや、大丈夫」
後輩に気使わせるとかダメだな俺…
もう1回あなたに電話してみるか、
プルルルルッ プルルルルッ
電話📞 「おかげになった電話は…」
あなたは俺より北人の方がいいってことか、?
…それは俺が困る。
絶対北人にあなたは渡さねぇ。
北人にLINEしよ。
壱馬 「あなた、まだ帰ってないけど知らない?」
北人 「さっきまで一緒にいたよー」
さっきまでってことはもう一緒にいないってことか
壱馬 「そっか」
北人 「俺、あなたに告白した」
は?
北人があなたに告白?
てか、返事は…?
北人 「あと、キスした」
いや、は?
あなた、北人の事…
好き、になったのか…?
とりあえず迎えに行こ。
俺は最寄り駅まで走った。
ちょうどあなたが改札から出てくるところだった。
俺はあなたのところまで走った。
あなたは思ったより普通だ。
あ、様子おかしくなった。
そう言いながら顔を下に向けるあなた。
北人が言ってたの、ほんとだったってことか…
俺はあなたの手をとった。
本当はあなたをあいつのものにしたくないというただの俺の独占欲だ。
今は手を繋ぐ以上のことは出来ねーけど。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!