【七守視点】
さとみくんがやってきてから、2週間が経った頃…
9月に入り少しずつ空気が冷たくなってきた
そんなとき新しい子が来た
帽子を深く被って顔は全然見えなかった
施設の人が行ったあと
じぇるくんと、莉犬くんは知り合いらしい、俺ら3人は話についていけなかった
なにか喋ってるらしい
正直、とても羨ましかった
【琥龍視点】
莉犬くんという子がきた。顔はよく見えなかった。
少し口元が見えるくらい
その子はジェルくんと知り合いらしく、二人で話していた
僕も、莉犬くんと仲良くなれるだろうか…
【里海視点】
莉犬っていう子は最後まで顔は見えなかった
帽子を深く被って俯いてたらだ。
莉犬くんはジェルくんにあった途端とても驚いていて嬉しそうだった
それはジェルくんも同じだった
【じぇる視点】
はじめは顔の見えない子でどんな子か気になっていた。
声は莉犬に似てたしもしかしたらって思った
施設の人が行ってから
そう言われて、予想は確信に変わり
そう言うとぱっと顔を明るくさせた莉犬は涙を浮かべて喜んでくれた
俺も嬉しかった
でも、莉犬は二人で話したいらしく耳元で
そう言ってきた
俺はなーくんに聞いて二人で屋上のドア前のところに行った
【莉犬視点】
これは正直怖かった、同じように理由を抱えて来ているのは分かっているけど
この犬耳とオッドアイのせいでいじめられないか心配だった
俺はできるだけ帽子を深くかぶって、下を向いて向かった
自己紹介しながらチラッと俺は前を向いてみた
そこに居たのは紛れもなく俺が探していた人物でとても嬉しくなった
俺は施設の人が行ってから
そう問いかけると
じぇるくんは目を見開き
そう言ってきた
俺はやっと一番会いたい人に会えてとても嬉しくて涙を流した
もっと話したいと思った、じぇるくんと、隠してない俺で
でもそのためには二人になる必要があった
ジェルくんに相談してみたところ
そう言ってきた。
なーくんという人はあの紫色の髪の毛の人らしい
そういやここには色々な髪の人がいる
紫、ピンク、青、あの人たちは友達?なのだろうか…仲良くしていた…
俺はうなずいてじぇるくんについていった
屋上のドアの前らしいところにつくと
じぇるくんは涙を流してくれた…俺のために…
そうして二人で数分間抱きしめあった
【じぇる視点】
俺はこらえきれずに涙を流して莉犬に抱きついた
莉犬も抱きついてくれて、本当に嬉しかった
少しして俺は
俺はあのとき言えなかったお礼をいま言った
莉犬は多分あの犬耳があったから、ここに来たとき帽子を深くかぶっていたんだと思った
でも、俺は莉犬を受け入れてると伝えたかった、犬耳が生えていようが、オッドアイだろうが、命の恩人なのは変わらないし、気持ち悪いとも、思わないから
フワフワと触る、とても柔らかくてとても気持ちよかった
莉犬は俺に抱きついてきた
泣いてるんだと察して俺は頭を優しく撫でた
莉犬は今までこらえてきたものを出すように泣いた
素直にそう思った
【莉犬視点】
少ししてジェルくんが
そう言ってきた。こんな俺でもジェルくんの役に立てたんだと思うと嬉しかった
じぇるくんになら本音を言っても大丈夫だと思った
そう言われてとてもびっくりした、そして突拍子のない声を出してしまった
俺はあの犬耳のせいで、いじめられてきたのに、じぇるくんの声色と表情からは、そんなものは全然感じられなかった
正直不安だけど、じぇるくんになら大丈夫だと思った
俺は恐る恐る帽子を脱いでみた
そしたら、またじぇるくんは意外なことを言い出した
じぇくんが、優しくフワフワと触ってくれる、
痛くなくて、優しくて温かいじぇるくんの手に瞳が潤む
俺は今日で何回泣くんだろう…
じぇるくんは満面の笑みで答えてくれて、堪えきれなくて、泣いてる姿が恥ずかしくてじぇるくんの胸に顔を埋めた
またじぇるくんは優しく撫でてくれる
こんなに優しい人っているんだな…
そうこうしてる内に時間は結構経っていたみたいで
今のじぇるくんの顔はとても自然体で、素のじぇるくんなんだと思った。あの頃のような顔じゃない、
【じぇる視点】
ここらへんは時計とかなく、窓から入る日光で時間が結構経っていることがわかった
そろそろ戻らないと、夕飯の時間だし
まだ不安なんだろう、それはそうだ、周りは知らない人ばかりなのだから
莉犬の不安は少しは消えただろうか、でも、再開したときから莉犬の表情は少し明るくなっていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。