__ 籠の中の鳥は
昼間のものとはまた違う、背筋を這うような汗が一筋流れ落ちる。
__ いついつ出やう
俺と倖は少しずつ、 声のする方向、森の奥へ奥へと足を進めていく。
__ 夜明けの晩に
どうしてだろう、と思った。
危ないんじゃないか、とも思った。
しかし足が言うことを聞かない。
不思議と、惹き込まれる声だった。
__ 鶴と亀が滑った
声の主に “会ってみたい” と思ってしまった。
__ 「 うしろの正面だあれ 」
一瞬では、理解できなかった。
俺たちが今どこに居るのか、俺たちの身になにが起こったのか。
本当なら有り得ない。
森だったはずの場所に洋館が “ある” ことも、
ずっと奥のほうで聞こえたはずの少女の声が、俺たちの “真後ろ” で聴こえたことも。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。