第2話

*
25
2018/10/01 08:04
「う゛〜、、あ゛つ゛い゛、、、」

汗を吸ったTシャツが背中に張り付く。
秋が近づいて来たとはいえ、森の中を歩けば汗のひとつくらいはかくものである。

「慧斗おおお おせえええ!!」
「うるせえ! 俺が倖ほど体力あるわけねえだろっ」

俺の数メートル先を歩くのは、大切な親友の頼みだ、と俺の家出に着いてきてくれた佐久野倖。

俺のように「 夢がない 」わけじゃないし、
勉強はできるわけでもないが、スポーツはなんでもこなせるし、
「医者になりたい」という夢に向かって頑張る、いかにも “主人公” の言葉の似合う男である。


*


森を探索し始めてどのくらい経っただろう。
辺りは薄暗くなりつつあるし、葉の隙間から見える太陽の光も、昼間のさんさんとした輝きを失おうとしていた。
昼間かいた汗が乾く。少しだけ肌寒い。
細く、小さな風が吹いた。そのときだ、


__ かごめ、かごめ


「、、、ゆ、き。」
「、、うん。きこえた。」

俺らの耳に、か細く、しかしはっきりと、
この場所ではどうしようもなく不似合いな、
“少女” の声が聴こえた。

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