気晴らしに外に出かけた。
散歩のつもりで。
早朝。
朝の6時。
僕は歩いて、歩いて、歩きまくった。
同じ道を行ったり来たり。
突然走り出してみたり。
心を無にしたかった。
自由にしたかった。
我に返ると月が昇っていた。
足を1歩踏み出す。
とんでもない激痛が僕を襲う。
わかりきったことだ。
不規則な生活、空腹、運動不足、睡眠不足。
なのにも関わらず1日中歩いたり走ったりを
繰り返したのだから。
視界が揺れ、焦点が定まらず倒れそうになる。
下手すると車道に飛び込んでしまいそうだ。
助けを求める気力すらない。
僕はそう思った。
体が宙を舞い、目の前が真っ暗になった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。