第290話

ジンside
4,958
2020/08/11 12:12



それからまたあなたを探した










もう何処へ行けばいいのか分からなくて










目的地がないまま、ただただ歩いていた










今日はもう帰ろうかと思った頃だった











ジン
あ…
ジン
こんな所に公園があったのか…










そこは、小さな公園で










いつしかあなたが喋っていたような公園だった










ジン
…あなたがいたらな










そこには、小さな噴水とベンチがいくつかあった











ベンチには










猫を膝に乗せ、フードを深く被っている人がいた















ジン
……
ジン
…え、
ジン
あなた…、?










恐る恐る、近づき、声をかけた












ジン
な、なあ…
ジン
あなた…?










俺が声を掛けると










その人は、膝から猫をおろし立ち上がった










ジン
なあ…
ジン
あなたなんだろ…?










面影のある後ろ姿










抱きしめたかった









ジン
なあ…
ジン
こっち向けよ…










絶対にあなただ










間違えるはずがない










でも、俺が話しかけても振り向くことはなく










あなたはその場を立ち去ろうとした






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