それから数週間がたった
ある日、ふと思った
死のう、と
決心した時には既に行動に移っていて
キッチンから包丁を取り出した
ベッドの上に座り
自分よ手首を眺めた
痛いのはやだな、と思ったけど
怖くはなかった
そして私は、手首を切った
自分の手首から流れ出る血は
綺麗だ、と思ってしまった
でも
全然死ねないじゃないか
それに、痛くもない
あぁそっか、
私は心が死んでるんだ
そう思った
ああ、なんて残酷なんだ
私はこんなにも死にたいと思っているのに
死なせてくれない
私なんかよりも、生きたいと思ってる人がいるのに…
そして、もう一度自分の手首に包丁を当てた
すると、前に誰か居ることに気がついた
上を見上げると
ジンが立っていた
ああ、何でそんな顔をするんだ
死にたいと思ってるのに
思ってるのに
生きたいと思ってしまうじゃないか
ジンは私を抱きしめ泣いていた
その温かさにますます生きたい気持ちが大きくなる
どうしてくれるんだ
そうジンは聞いてきた
何も残っていない私に
できる事なんかない
私の、気持ち
その時、これまでの事が蘇った
letterの事
BTS先輩やTXTの事
コーチや◯◯さん
皆が私に笑顔で話しかけてくる
そしてジンは優しく私を抱きしめてくれた
すると、
今まで死にたいと考えていた気持ちが
生きたいに変わった
その瞬間
今まで胸の中に溜め込んでいたものを吐き出すように
感情が溢れ出した
そして私は、子供のようにわんわん泣いた
生きたくて、生きたくて
また歌いたい、踊りたい
ジンと一緒にいたい
そんな想いが溢れて溢れて、止まらなかった
泣きじゃくる私を、ジンはずっと抱きしめてくれた
そして私は、いつの間にかジンの中で眠ってしまった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。