第86話

D side
5,923
2020/05/28 20:45
もっと












もっとだ










もっと練習しないと







こんなんじゃダメだ













そう思いながら今日も私は練習室に籠る





何回も何回も踊る

何回も何回も歌う










こんなんじゃダメだ


こんなんじゃ認めて貰えない





どうやったら先輩達みたいになれる?



どうやったらアンチがなくなる?



そんな事を考えながら練習を続ける




















夢中になって踊り続けていた






すると、汗で滑って盛大に転んでしまった






床に大の字になる






天井のライトが眩しい




はぁ…はぁ……



部屋には音楽が延々と流れている





もう、どうしたらいいんだ…



ライトが眩しくて、目を閉じた












勝手に涙が出てきた







うっ……うぅ、


今日も目に入ってしまった


私へのアンチ




「 パクリ」
「辞めろ」
「消えろ」


これ以上何をしたらいいんだ…





どうやったら認めてもらえるんだ…



.
.
.
.
.
.
.
.
















気がつくと、私は車の中にいた








どうやらあのまま眠ってしまっていたらしい







練習しなくちゃいけないのに…






車の中で、ジンが何か言ってたけど



眠くてあまり覚えていない










家着いたとジンが起こしてくれた














今日の私は少しおかしい












ジンに甘えたくなった









いつもならこんな事絶対ないのに










私のワガママを聞いてくれて、私はジンにおぶってもらった









ジンの背中はあったかくてなんだか安心した









ジンはスープを作ってくれた







スープを食べてたら、思わず本音が出てしまった










ジンは私の話をちゃんと聞いてくれる






聞いてくれた上で、ちゃんと慰めてくれる







ジンのスープを飲み終え、シャワーを浴びてベッドに入った









一時してから、ジンが部屋に入ってきた








私はとっさにねたふりをした








するとジンは、私の頭を優しく撫でた







なんだか嬉しくて笑ってしまった






ジンに頭を撫でられると安心する








そしてジンは私の頬をそっと撫でて


「おやすみ」




そう言って部屋を出ていった














最近、疲労が溜まりすぎてあまり寝れていなかった













でも今日はぐっすり寝ることができた
















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