もっと
もっとだ
もっと練習しないと
こんなんじゃダメだ
そう思いながら今日も私は練習室に籠る
何回も何回も踊る
何回も何回も歌う
こんなんじゃダメだ
こんなんじゃ認めて貰えない
どうやったら先輩達みたいになれる?
どうやったらアンチがなくなる?
そんな事を考えながら練習を続ける
夢中になって踊り続けていた
すると、汗で滑って盛大に転んでしまった
床に大の字になる
天井のライトが眩しい
部屋には音楽が延々と流れている
ライトが眩しくて、目を閉じた
勝手に涙が出てきた
今日も目に入ってしまった
私へのアンチ
「 パクリ」
「辞めろ」
「消えろ」
これ以上何をしたらいいんだ…
どうやったら認めてもらえるんだ…
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気がつくと、私は車の中にいた
どうやらあのまま眠ってしまっていたらしい
練習しなくちゃいけないのに…
車の中で、ジンが何か言ってたけど
眠くてあまり覚えていない
家着いたとジンが起こしてくれた
今日の私は少しおかしい
ジンに甘えたくなった
いつもならこんな事絶対ないのに
私のワガママを聞いてくれて、私はジンにおぶってもらった
ジンの背中はあったかくてなんだか安心した
ジンはスープを作ってくれた
スープを食べてたら、思わず本音が出てしまった
ジンは私の話をちゃんと聞いてくれる
聞いてくれた上で、ちゃんと慰めてくれる
ジンのスープを飲み終え、シャワーを浴びてベッドに入った
一時してから、ジンが部屋に入ってきた
私はとっさにねたふりをした
するとジンは、私の頭を優しく撫でた
なんだか嬉しくて笑ってしまった
ジンに頭を撫でられると安心する
そしてジンは私の頬をそっと撫でて
「おやすみ」
そう言って部屋を出ていった
最近、疲労が溜まりすぎてあまり寝れていなかった
でも今日はぐっすり寝ることができた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!