朝から寒気がしてる。
この関節の痛みは本格的に風邪かもしれない…
今日のは、本物の。
あなたはこんな時も当然のように僕の部屋に居座っている。
え、なんで僕が怒られてんの。
布団を被っているけど、だんだん体がガタガタ震えてきた。
頭もぼーっとする。
今日はこのまま寝れるかもしれない…
びっくりした…
えぇ…
やばい。また意識が飛びそうだ
あなたがベッドに乗ってきた気がする
必死に力を振り絞って布団を少し下げると、あなたの顔がすぐ近くに来ていた
あなたのおでこが僕の額に触れる
今時こんな測り方するやつ、いる?
なんでだろう
あ、わかった
帰って欲しくないから。
ため息をついて出ていってしまった。
少しして足音が近付いてくる。
母さんかな…
僕が意識を手放し始めた時、部屋のドアが開いた。
目を瞑った僕のおでこに冷たいものが乗る。
目を開けると、そこにはあなたがいた。
布団から手を出すと、無言で握ってくれる。
不機嫌な君を見つめてから、僕は安心して再び目を閉じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。