あ、よかった…
ちゃんと喋れてる
眠そうに目を擦るジン。
え、これ私が目を擦った方がいい…?
このまま二度寝させるほど私に余裕がないよ?
だって今目の前には…
いつもはこんな寝方しないのに、体を丸めてまた寝ようとしてる。
仕方がないから、私がそっとその耳に触れた。
飛び上がって驚くジン。
え、やっぱり感覚あるの?
ほわほわとした感触が忘れられなくてもう一度、今度はしっかり握ってみる。
私も十分驚いたけど、どうやら本人の方が驚いている模様。
真っ赤になっちゃって可愛い。
相当恥ずかしかったんだよね?
意外にも受け入れちゃってる自分がいる。
そこまで言うと違和感に気がついたのか、上体を起こしたジンがそっと自分の耳に触れた。
急いで後ろの鏡を確認するジン。
…いや、ネコ。
あたふたしながら鏡の前で一生懸命耳を触るネコちゃんの後ろ姿を見て、私はまた新たなおもちゃを見つけた。
そーっと手を伸ばしてパジャマのゴムに挟まれているその長い尻尾を触りにいく。
キュッと優しく掴むと
と、また可愛く哭いた。
口を押さえて私を振り返る、ジンくん。
いや…ネコだった。
あまりの可愛さに笑いが堪えられなくて肩を震わせると、目にうるうると涙をためたジンが私を恨めしそうに見ている。
耳を隠すようにして布団の中に隠れちゃった。
あーこれは、かくれんぼかな?
仕方ないから、恥ずかしがり屋のネコちゃんと遊ぶために私も布団の中に入る。
服をわしっと掴んで引っ張るとーーー
はっとして、目の前に寝ているジンの服を掴んでいる自分に気付く。
あれ…?
夢…??
向かい合って抱き合いながら寝ている構図。
まだまだ瞼を重くする睡魔に誘われて、再び夢の世界に入る為ジンの腰に足をかけた。
足の先に、なんか当たる…?
もふもふとした感覚に指先でその正体を探る。
今度こそ、本当に目が覚めました。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。