第49話

バレンタインチャレンジーYg(放課後)
2,177
2021/02/21 11:19
you
先生
Yg
なに
you
今日、バレンタインですね
Yg
そうだな
you
うちの校則なくなれば良いのに
Yg
無理だろうな
いつものように音楽室で先生の仕事姿を拝んでる。

私には一切目もくれないで仕事してるところとか、冷たいけど好き。

西日が差して先生の白い肌をオレンジ色に染めている。

睫毛の影が頬に映って、ほんと人形みたいに綺麗。

なんでみんなこの魅力に気付かないんだろ…?

気付かなくて丁度いいんだけどね。

そんなこと考えながらふと楽譜の山に目を向けると、バレンタイン特有の包みが目に入った。
you
えっ!?!?
私の声に驚いた先生が今日初めて顔を上げる。
Yg
…なんだ?
you
先生、あれ…
視線の先を指差して訴える。
Yg
あぁ…
you
受け取ったの!?!?
Yg
いや、没収した
その言葉に一瞬安堵するけど、まだ完全には疑いを拭いきれない。
you
もしかして、持ち帰るの…?
Yg
アホか、担任に渡す。
you
はぁぁ……
やっと脱力して、私は再び座り込んだ。

だって、もし先生が持ち帰ったら食べるかもしれないじゃん?
そんなの、耐えられない。


まぁ先生が誰から貰ったとしても、本来私にどうこう言う権利はないんだけどね…
you
ねぇ先生、彼女いる?
Yg
秘密。
you
意地悪
また先程までのゆっくりとした時間が流れた。

先生との沈黙は全然苦じゃなくて、むしろ私を癒してくれる。
先生は、どう思ってるんだろう…?


たまに聞こえる仕事中のため息が、私には心地良い音楽のよう。

時計がカチカチと秒を刻んで、そろそろ帰る時間だと私を追い込んでいた。



今日が2月の14日だからとか、そんなのは全く関係なくて。

ただこの溢れる気持ちをどうにか言葉にしたいだけ。

チョコなんかなくても、私は自分の気持ちに正直にいれる。
you
ねぇ先生?
Yg
…なに
you
好き。
1秒だけ顔を上げた先生と目が合った。

だけど私には世界が止まったくらいの時間に感じられる。

顔色一つ変えずにまた手元に目線を戻す先生。

やっぱり、今日も私の片想いだけど。
Yg
知ってる。
この返事だけでも、今日は最高の一日になる。

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