さっきからずっとこの会話の繰り返し。
いいとこって、あなたの見てる映像のご本人がここにいるんだけど…?
ライブパフォーマンスを見てるあなたを抱えるようにして、後ろからぎゅっと抱きしめる。
なんか顔を覆って興奮してる。
見ると、ユンギヒョンが珍しくファンサしてるとこ。
え、なにこれ
手を回してる僕の腰あたりをバンバンと叩いて騒いでいる。
やっと忌々しい時間が終わった。
最近あなたがいつも僕たちのパフォーマンス見てる理由がわかった。
…わかりたくなかったけど。
なんか長めのため息ついてるあなた。
なんか女になってない?
無言で訴えていると、やっと僕の不機嫌に気付くあなた。
遅すぎ。
下から顔を覗き込んで様子を伺ってくるけど、こんなんじゃ許さないよ?
そんな詳しく教えてなんて言ってない。
またイライラしてきた。
じっとあなたの目を見つめる。
やっと僕の怒りが冗談じゃないことに気付いたみたい。
さっきまでの威勢はマイナスになって、今じゃ子猫のように僕の前で大人しくなってる。
敢えて笑顔を作ってやると、マジでうろたえ始めるから可愛い。
何度か会ったことはあるはずだけど一応聞いておく。
ちょっと顔を赤くして涙目になってるあなた。
本来ならここで可愛いなぁって許してもいいんだけど、今日の僕はそんなに甘くないよ?
いつもより低い声を出すと、それだけでビクッと肩を震わせた。
下を向いているあなたの顎を掴んで強制的に上を向かせた。
僕と目が合うとうるうると目を潤ませてくる。
その顔がたまんなくて、もっと苛めたくなるんだ。
顔を近づけてそっとキスをする…
くらい、僕の唇をあなたに寄せた。
もう蕩けそうな顔になってるね。
あなたの推しは、こんな顔させられるかな?
その言葉を聞いて、やっとその唇に触れた。
真っ赤な顔をしてるあなた。
たまにこうやってわからせてあげないとダメなあなた。
後でこの顔が見れるなら…
また今度ヒョンに会わせてもいいかな、なんて思う僕はちょっと歪んでる?笑
苛めた後は必ず僕に縋り付いて甘えてくる彼女。
そんなあなたを、絶対離さない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!