クローゼットにいるあなたに呼ばれてハッとした。
この前洗濯をした時にドアに挟んだまま回してビリビリになってしまったものがある。
おそらくそれがあなたのストッキング。
すっかり忘れていて、伝えていない。
僕はことの端末を包み隠さず伝える。
こういう時は正直に話すのが大事だと知っているから。
明らかに落胆する君。
この顔をさせたのが自分だなんて情け無い。
ただ、デートの為にそこまで本気で考えてくれるあなたが好きだ。
やっとウォーキングクローゼットから出てきてくれた。
少し頬を膨らませてるのが可愛いくて仕方ない。
今日も完璧なスタイルで僕を魅了する。
未だ不服そうな君を玄関まで連れて行き、
お気に入りのピンヒールを取り出す。
跪いてあなたの脚に軽くキスをしたら、
いつもの年上の余裕はなくなるね?
顔を赤くして下を向いたから
その綺麗な脚をこわれもののように
優しくパンプスに収めた。
手を取って家を出る。
その時、おでこにキスを落として
必ず僕はこう言うんだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。